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外に出ると、新鮮な空気が体に染みこんで
俺は肺っぱいに深呼吸してから
港の船着き場へ伯爵に手を繋がれながら向かう。
黒薔薇王子
ヴェレッド伯爵
「西洋に行くのは初めてか?」
俺は頷いた。
俺
白揚羽 雪夜
「はい、初めてです!」
伯爵は小さく笑みを浮かべる…
黒薔薇王子
ヴェレッド伯爵
「そうか!それは良かった…
きっと、気に入る。」
船着き場について俺達は
停泊していた大きな船に乗り込んだ!
出発を知らせる汽笛の音が港に鳴り響く…
この音は遊郭の中から時折聞いていたが
まさか…乗れる日が来るとは思わなかった。
俺は船の後方、手すりにつかまる…
俺
白揚羽 雪夜
「遊郭が…港が遠ざかっていく。」
俺の背後にいた伯爵は俺の隣に並び
遠ざかっていく港町を一緒に眺めた。
黒薔薇王子
ヴェレッド伯爵
「ようやくこれで…
私は孤独から解放されるんだ。」
伯爵の腕が俺の肩に回され
俺は伯爵の胸部付近に頭をもたれる。
俺
白揚羽 雪夜
「使用人とか、いないんですか…?」
伯爵は俺の頭にその黒髪をもたれてきて
俺は目を細めていた…//
黒薔薇王子
ヴェレッド伯爵
「いない…だから屋敷で、私はいつも一人だ…
毎日、書斎で仕事して紅茶を飲み
暇な日は1日プールで泳いで読書して…
ほんと、味気ない1日さ。」
なるほど…
俺
白揚羽 雪夜
「俺に色々、教えてください
貴方のお役に立ちたいから…」
港町がすっかり見えなくなって
潮風に頬を撫でられた。
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