417人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
夕食を食べゆっくりとお風呂に浸かり、リラックスして布団に入る。
(いい夢が見れますように……)
*****
「はぁ、はぁ、はぁ…」
広い屋敷の廊下を走って、庭に向かっていた。
庭に2人の姿が見え、縁側で立ち止まり私は2人に言う。
「兄様! 兄様! 私もつれて行って下さいまし」
「ダメだ。お前は母上と屋敷にいるんだ」
大きな草履を履き庭に下りて、兄にしがみついて駄々をこねる。
「いやいや、つれて行ってぇ」
すると兄は顔を上げ言った。
「父上、ゆいもつれて行ってよろしいですか?」
父が私の頭を撫で、微笑んで言う。
「では、ゆいも用意をしておいで。一緒に行こう」
「わぁーい! 母様、ゆいも行っていいって」
母の元に走って行き、軽装に着替え2人に挟まれ手を繋ぎ一緒に出掛けた。
汽車に乗り、着いた場所は見知らぬ駅で、私は2人につれられ歩いている。
だが駅からだいぶん歩き、疲れてしまい途中から兄の背におぶってもらう。
そうして着いた場所は、大きな綺麗な池だった。
兄は私を下ろし、父と一緒に釣りの準備をしている。
私は近くで2人の様子を静かに見ていた。
父と兄が並んで座り、針の先に餌をつけて、池に竿を出す。
ほどなく、父の竿に反応があった。
目印のウキがピクピクと動き、グイッと下に沈むと、父は竿を上に素早く上げそのまま引き上げる。
すると、バシャバシャと魚が針にかかり暴れていた。
糸を手繰り寄せ、陸に魚を上げると元気よく跳ねる。
「うわぁ! すごーい! おっきいね!」
そう言って父と兄に笑いかけると、2人も笑っていた。
*****
最初のコメントを投稿しよう!