幸せな夢

3/25

417人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
目が覚めて、ぼぉーと天井を見つめる。 『モノクロの夢』 今までみた夢とは違って、日常的で『幸せな夢』だった。 私はまだ幼く、兄を見上げていた。 何歳だったのかは分からないが、夢の中でも兄がいた。 兄や父の顔はぼやけていて見えない。 母に着替えさせて貰っている時も母の姿は見えず、気づくと着替えが終わっている。 夢だな…… でもあの駅から見た景色は知っている。 あれは幼い頃、兄と幼馴染達と母親に付き添われて行った池の駅だ。 じゃあの池が、夢で見た大きな綺麗な池なんだ。 今さっき見た夢と昔の出来事が繋がり、少し怖くなった。 幼い頃に一度夢であの池を見て知っていたけれど、もしかして、もっともっと前から私は知っていたの…? (あぁ……考えれば考えるほど、怖くなる…) ベッドから起きて洗面台で歯を磨き顔を洗って、仕事に行く準備をした。 連日『モノクロの夢』を見ている。 謎がどんどん増えて、しかもちょっと疲れる。 何だろう…… どうしてあんな夢を… ≪必ず生きて逃げろ。必ずまた会える、約束の場所で待ってて≫ ふと脳裏に甦る、夢で会った彼の言葉。 もしかして、そこに繋がるの…? 電車に揺られながら夢の事を考え、会社に着いて更衣室で着替えている時もずっと頭から離れなかった。 デスクにぼぉーと座っていると、 「おはよう」 と声を掛けられ、見上げると朝比奈先輩が出社して横に立っていた。 「どうした? 顔色悪いぞ。森下、疲れてないか?」 「あぁ、先輩……おはようございます。うーん……ちょっと疲れてるかも…」 「ん? 大丈夫か?」
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

417人が本棚に入れています
本棚に追加