幸せな夢

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そう言って先輩が私に手を伸ばし、掌で額に触れる。 「えっ、お前、熱あるじゃん」 「あっ、だから、なんか体がだるくてフラフラするのか…」 そう思っていたら、先輩に寄りかかって意識が薄くなった。 薄い意識の中で、先輩の声と爽やかないい匂いがする。 体を支えられてフラフラと歩き、どこかの部屋のドアの前。 「ほらっ、もう少し。森下、お前の家だ。鍵は鞄か?」 先輩の声がして鞄を開け、キーケースを取り出しドアの鍵を開ける。 ドアを開き中に入って、玄関で靴を脱いで先輩が屈む。 次の瞬間、フワッと体が浮いた。 先輩が私の背中と膝の裏に腕を回し、抱きかかえて部屋の中に運んでくれている。 「朝比奈…先輩……すみませ…ん…」 「いいよ。ベッドどこだ……あ、ここか……下ろすぞ…」 ゆっくりとベッドに下ろされた。 「一応ロッカーから服とかも持って帰って来たけど、制服だから着替えた方がいいな。着替えどこだ?」 「あ、クローゼットの中の引き出しに…」 「じゃ、開けるぞ」 クローゼットを開き、先輩が着替えを適当に出してくれた。 「俺はリビングにいるから、着替え終わったら呼んで」 そう言って、寝室を出てリビングに行った。 着替え終わって、先輩を呼ぶ。 チラリと顔を覗かせ部屋に入って来ると、私のそばに来て横になっている私に言った。 「森下、体温計は?」 「あ、この引き出しに…」 ヘッドボードの小さな引き出しを開けて、体温計を取り出す。 「熱、測ってみて。病院行った方がいいなら、つれて行く」 「先輩、すみません。寝てれば大丈夫です」 「いや、そんなに辛そうなのに無理だろ。せめてなんか軽く食って、薬飲まないと」 「あぁ……」
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