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「あっ……」
「それに、昨日、時間作るって言ったろ。熱が下がったら、少し話を聞くよ。取りあえず少し寝てろ」
「はい……」
横になると先輩が布団をかけてくれて、優しく頭を撫でて微笑んだ。
「おやすみ…」
「おやすみなさい…」
フィナンシェの箱とグラスを持ち、部屋を出て行った。
案の定『閻魔大王の夢』を見る。
*****
⦅……下……おい…⦆
どこからか声が聞こえる。
両脇の鬼達が騒ぎ、閻魔大王が「静かに!」と叫ぶ。
⦅おい! おーい! 森……下…⦆
「えっ…先輩…?」
上を見上げ声がする場所を探す。
⦅森下! 起きろ! 戻れ!⦆
*****
ハッと目を開けると、すぐそばに先輩の顔があった。
「うわぁ! 先輩! 近いっ!」
とっさに手を出し、先輩の顔を両手で押しのけた。
「だって、お前、うなされてて、いくら呼んでも起きねぇから…」
「あぁ……閻魔大王に会ってました…」
「あ、やっぱり…うなされて、顔色が悪くなっていくんだな…」
「えっ……うそっ…」
「それ、マジで心配だな。1人で大丈夫かよ……熱が出た時は誰かと一緒の方がいいぞ」
「あぁ……はい…」
「森下が寝てる間に、色々買って来たぞ。あぁ、先に着替えるか? 汗、すごいかいてる」
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