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「森下自身も同じくらい?」
「そうだと思います。手を繋いだ時、そんなに大きさは変わらなくて、着物の裾を捲った時も足のサイズは、今と変わらなかったかな…」
「そうか、で、約束の場所で会う事になってるのか…」
「はい…でも、約束の場所がどこなのかは、まだ分かりません」
「……それで、今度は幼い頃の話になってるのか。何歳くらい?」
「うーん。兄が10歳から12歳くらいだったかな。もし、今と同じなら、3つ下で私は7歳から9歳くらいかも知れません」
「で、行った先の駅と池が、森下が前に話してた池か……」
「はい…兄達と行った池です」
「そうなると……マジな話、前世の記憶じゃないのか」
「えぇ……前世の記憶?」
「だって実際、行った事もないのに知ってたって事が何度も起こるって、偶然じゃないだろ」
「それは……夢で…」
「夢って思ってるけど、昔の記憶なんじゃないのか…」
「じゃ、もしそうだとして……何で急に? この年になって、急にそんな…理由が分からない…」
「理由はあるよ。約束の場所で再会する事……それが、まだ叶ってないんじゃないか?」
「えっ……それを叶えるために、今、私に起きてるって事…」
「そうかも知れない……」
言葉が出なかった。
これから何が起きるのか。
前世で約束の場所で会えなかった理由は、私が切られたから?
そう考えると、夢を見る事が怖くなり、現代で今の私に何が起きるのかが怖くなった。
「今日見た夢で、森下を守ると言った少年のたくみ君は、きっと約束を交わした青年だろうな」
「……やっぱり、そうなのかな…」
「って事は、森下と同じように、今、この現代で同じ夢を見ているかも知れない」
「えっ……同じ夢を…?」
「うん。この現代で再会するために……探しているかもな…」
「えぇ……何か、怖くなって来た…」
「ふっ、大丈夫。俺が一緒にいるよ。一緒に最後まで付き合ってやる。たくみ君がどういう奴か、気になるし…」
「先輩……」
先輩がそう言ってくれて、すごく心強くて安心した。
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