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初めての夢
ハアッッ! !
ハァッ、ハァッ……ハアァ……
一瞬で目が覚め、天井を見つめたまま息を切らしていた。
ゆっくり起き上がり、額に手を当てその手を下ろし掌をジッと見つめる。
「夢……? 夢…か……よかったぁ……はぁっ…」
額や体にじっとりと汗をかいて、心臓がまだドキドキと速く鼓動を打っている。
ふうっとひと息つき、ベッドから出て浴室に向かった。
シャワーで汗を流し、洗面台で歯磨きをしながら鏡に映った自分を見るが、いつもと何も変わらない。
ただ今日の夢はあまりにもリアルに感じて、なかなか頭から最後の光景が消えなかった。
あんな夢を見た後で朝食を食べる気にはなれなくて、すぐに仕事に行く準備をする。
化粧をし髪をセットして、ゆったりとした服にワイドパンツを穿き、パンプスを履いて鞄を持ち家を出る。
家から徒歩5分の駅に着き、パスケースを出し改札を通って満員電車に揺られ会社へ向かう。
電車に揺られながら、フッと眠気が襲う。
目覚めは良かったが、あんな起こされ方をすれば、心臓が持たない。
(あんな夢、初めてだな……)
幼い頃から変な夢はよく見た。
『 昔話に出てくる閻魔大王の前にポツンを正座をさせられ、左右のひな壇で鬼達が私を見ている 』
この夢は、小学1年生の頃、扁桃腺がよく腫れ、高熱を出した時に必ず見る夢で、熱が出て寝る時はいつも怖かった。
1年生の半数は発熱の為学校を休み、残りの半数の半分は保健室で寝かされ母親が迎えに来て早退するという日々で、かかりつけの病院では扁桃腺を手術で切ろうという話が出ていた。
だが私が怖がって泣き、母親は諦めたという話を少し大きくなってから聞いた。
2年生になると体調も安定し、熱も出なくなり学校を休む事もなくなったが、それでも高熱が出た時は同じように『閻魔大王の夢』を見た。
その夢は大きくなってからも見る事があり、夢を見てから目覚めて体温を測ると高熱があるという逆のパターンもある。
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