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「先輩、無理しないで下さいね。私の方は仕事じゃないですし、自分でも色々と調べてみますから」
ただでさえ今、先輩は仕事で忙しいのに、夢の事で負担をかけたくなくてそう言うと、先輩は優しく微笑んで言った。
「あぁ……森下も無茶だけはするなよ」
「ふっ、はい…」
どこまでも私を心配する先輩。
自分の方が無茶してるっていうのに…。
レストランを出て、私を家まで送ってくれる。
「そういえば、俺の話ばっかりだったな。森下の夢の話は? 何か新しい事が分かったみたいな事言ってなかったっけ?」
「あぁ…ん……私のは、また今度でいいですよ」
そう言っていると、マンションの前に着いた。
先輩は車を一旦停車させて、ハザードランプをつける。
私はシートベルトを外し、ドアに手をかけた。
「じゃ先輩、お疲れ様でした。あと、夕食ごちそうさまでした」
先輩の顔を見てお礼を言い、ドアを開けた時、
「森下!」
もう片方の腕を引かれ、とっさに振り返る。
「もうちょっと話したい…」
先輩が真剣にそう言うので、私はこう答えた。
「じゃ、少しあがっていきますか?」
先輩はマンションの駐車場に車を停め、私の部屋へ入る。
先輩がこの部屋に来たのは、私が熱を出して送ってもらった時。
あの時は熱があり、先輩をもてなす事が出来なかったけど、今日は先輩がお客様。
私は部屋に入ってすぐキッチンに向かい、お湯を沸かした。
「あっ、どうぞ。座ってて下さい。今、コーヒーを淹れますから」
「あぁ、悪い…」
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