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しばらく先輩に抱き締められて、ゆっくりと先輩が腕を緩めて私を放す。
ラグマットの上にへたり込み、先輩を見上げる。
「はぁっ、森下……急に変な事してごめん。びっくりしたよな」
私は黙って頷いた。
「でも、ありがとう。お陰で、少し疲れが飛んだ」
「そ、それなら……よかったです…」
うつむき加減で言った。
「ふっ、森下……お前はほんと、優しいな……」
先輩が頭に手を乗せ、優しく撫でる。
「それをいうなら、先輩の方ですよ。いつも話を聞いてもらってるのは、私なんですから」
顔を上げてそう言うと、先輩はフッと笑って言った。
「じゃ、1つお願いしていい?」
「ん…? お願い?」
「森下、もう1回、抱き締めていい?」
真っ直ぐ私を見つめて言う、先輩。
私は引き寄せられるように、先輩に近づきラグマットに膝立ちになって先輩に手を広げた。
先輩が私に抱きつき、ぎゅっと抱き締め引き上げて、ソファーにもたれる。
私は先輩に体を預け、両手を腰に回した。
すると、先輩が耳元で囁く。
「結衣……腰に手を回すな………抱きたくなる…」
その瞬間、両手をソファーに落とす。
「そう……それでいい…」
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