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どれくらい抱き締められていただろう。
先輩が首筋にキスをして、ぎゅっと腕を締めた後、
「ありがとう…」
と言って、私をラグマットの上に戻して腕を離した。
「ふっ、十分、充電出来た。明日からまた頑張ろ」
そう言って私に微笑み、冷えてしまったコーヒーを飲み干した。
私はまだ心臓のドキドキがおさまらないまま、震える手でカップを持つとカタカタと音が鳴った。
その手を先輩の手が握る。
「ごめん……怖かった…?」
大きく首を横に振る。
「怖かった訳じゃないです。ただ……」
「ただ…?」
「ただ……ドキドキしただけです…」
そう言って、熱くなった顔を伏せた。
「ふっ、森下……それって、嫌じゃなかったって事でいい?」
ゆっくり頷く。
「俺、期待していい…?」
「えっ…」
顔を上げて先輩を見る。
「俺、森下の事、好きだよ」
「先輩……」
「森下は…? 俺の事、どう思ってんの?」
「私は……」
目を逸らし、答える事が出来なかった。
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