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そして変な夢のほとんどは『 予知夢 』といわれるもので、3種類あるという。
1つ目は、正夢や逆夢、霊夢といわれる夢で、近い未来に起こる事をそのまま夢に見る事。
2つ目は、象徴夢といわれる夢で、健康状態や人間関係を抽象的に表す夢の事。
3つ目は、共有夢といわれる夢で、心的つながりの深い人間同士が同じ夢を見たり、以前見た事があるというような 既視感(デジャブ)といわれる夢の事。一度も体験した事がないのに、体験した事があるかのように感じる事。
この3つで、私は幼い頃から初めて訪れる場所で、デジャブを何度も経験していた。
3つ上の兄と近所の幼馴染の男の子達が、よく釣りに出かけていた。
いつでも兄について男の子達と遊んでいた私は、ある日よく魚が釣れるという池に電車で行く事になった。
いつもは皆、自転車で釣りに行くがその場所は遠く、母親に話をすると小学生だけでは行かせられないと言い、母親が代表でついて来る事になった。
兄はまだ小学5年生、私は2年生だった。
特急電車に乗り、向かい合わせの座席に座った。
乗り物酔いをする私は、兄が横に座り兄の膝枕で眠って池に向かっていた。
「結衣、もう着くぞ」
兄に肩を揺さぶられ目を覚まし起き上がると、兄の太腿は私のヨダレで濡れていた。
小学5年生、夏休み……
半ズボンの兄の太腿は、無残にも妹のヨダレでヌルヌルになっていたが、兄は私に何も言わず、
「お母さん、タオル…」
そう言って、嫌な顔もせず拭いていたのを今でも憶えている。
そうして初めて釣りの遠出に来た私達は、大はしゃぎし駅の改札に向かう。
が、改札に行く前に私は足を止めた。
「お兄ちゃん、私、ここ、知ってる。この駅、来た事ないよね…」
「うん、初めてだけど……えっ、知ってるって?」
「うん、この駅、来た事がある…」
小学2年生の私が来れるはずもない駅を知ってるというと、皆、半信半疑で私を見ていた。
「じゃ、結衣、この駅から池の場所まで行ける?」
兄の1つ上の幼馴染が私に尋ねる。
その男の子が近所のおじさんに訊いた池だった為、彼と母親しか池の場所は知らない。
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