421人が本棚に入れています
本棚に追加
先輩の事は好きだ。
だけど、夢で見たたくみと約束の場所で会う事になった時、もし本当にこの世界で再会した時、私はどうすればいいのか分からない。
先輩を選ぶのか、たくみを選ぶのか……
「もしかして、たくみ君の事を気にしてる?」
先輩には何でもお見通しだ。
嘘はつけない。
「はい…」
「そうだよな。生まれ変わってもまた再会する為に、夢として前世の記憶を見せている訳だしな…」
先輩はソファーからラグマットに下り、私の頬を両手で包み持ち上げ、目を見つめて続けた。
「結衣、俺を好きになれ! お前を誰にも譲る気はない!」
強くキッパリと言った後、私の唇に唇を重ねた。
何度もキスをして、吐息交じりに先輩が言う。
「結衣好きだ……ずっと好きだった…結衣……」
上から先輩のキスが降って来る。
胸が苦しくなるほど、切なく「好きだ」と私の中に刻みつけるように。
「先輩……好きになってもいいの……?」
頬を涙が伝う。
「あぁ、俺を好きになれ、結衣」
「先輩……」
「弦……ゆづるだ…」
「ゆづる……」
「結衣…」
もう一度キスをして、深く長いキスをした。
最初のコメントを投稿しよう!