幸せな夢

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唇を離し、見つめ合い先輩が言う。 「結衣、付き合お」 「うん…」 もう一度抱き合って、軽くキスをした。 「一応会社では今まで通り、森下って呼ぶけど2人の時は、名前で呼び合お」 「うん…」 「ふっ、じゃ、結衣。今度は結衣の話、聞かせて」 「えっ…」 「あれから、夢見た? 他に何か分かった事あった?」 「うん。自分でも色々調べてみようと思って、兄に電話して池の話を聞いたり、ネットで調べたりしてた」 「それで? 何が分かった?」 兄から聞いた話や、夢で見たたくみの生い立ちの話をした。 「なるほど……お兄さんの話で、夢の中の出来事と完全に一致するな。やっぱ、前世の記憶なんだな」 「うん……そうみたい…」 「それに、たくみ君がそんな境遇だったとは……」 「うん……でも、家に来てすごく嬉しそうだった」 「ふっ、そっか。ゆいの父親が辛い生活から、たくみ君を救い出したんだな」 「うん……あっ…弦…?」 「えっ…?」 彼は涙を流して話をしていて、彼自身それに気づいていなかった。 ティッシを取り、涙を拭いてあげる。 「あ、ありがとう。幼い彼がそんな生活で、どれだけ辛かっただろうって思うと…ダメだな…」 「うん……私も、起きた時は泣いてた…」 「他には?」 「ううん、まだそこまで」 「そっか」 「それでね、私、一度池に行ってみようかと思って…登山グッズを買ったの」 社割で買ったグッズを出して見せる。
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