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「ゆい! よかった……ゆい」
「たくみ…」
顔を上げ彼の顔を見た、その時。
彼の顔が近づき、唇が私の唇に重なった。
冷たくなった彼の唇が、私の唇に二度、三度と重なり熱くなっていく。
「ゆい、好きだ。好きだ…」
「たくみ……私も…」
雨が降りしきる中で、何度も深い深い口づけをした。
部屋に布団を敷き、熱でうなされている私。
前日の雨で風邪を引いたのか、寝込んでいた。
部屋の襖が開き、入って来たのはたくみだ。
私の枕元に座り、私の頭を撫でる。
「ゆい…悪い。見つけてすぐに屋敷に帰ればよかった…」
そう言って、優しく頭を撫でてくれる。
私はその手を掴んで、頬に寄せた。
「ううん、いいの……たくみがゆいを好きだって、言ってくれたから」
頬に寄せた彼の手が、火照った頬を包み、彼の顔が近づく。
「ふっ、うん。ゆい、好きだよ」
微笑んで言い、私の唇に口づける。
「たくみ、風邪がうつっちゃうよ」
「いいよ。俺にうつせば、ゆいが治るだろ」
そう言うと彼は口を開けて、深い甘い口づけをした。
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