幸せな夢

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幸せな夢

起き上がり涙を拭いて、しばらくぼぉーと考えていた。 彼はあの後どうなったのだろう。 あの大きな池を渡って、私はどこに行くんだろう。 不思議な夢で、謎が増えた。 仕事に向かい更衣室で制服に着替えて、オフィスに入りデスクのパソコンを起動させる。 朝比奈先輩が出社して来て、隣のデスクに座った。 「おはようございます。先輩、今日…」 「おはよう、森下、悪い。今日は朝から取引先へ行く事になっていて、すぐに出ないといけないんだ」 「あっ、そうなんですか。分かりました。じゃまた、今度で…」 「悪い…」 「いえ…」 そう言って、パソコンの画面に向かった。 「森下…? 大丈夫か? 怖い夢か?」 「いえ、大丈夫ですよ」 「そうか……明日は時間を作るから、話を聞かせて」 「はい。先輩、ありがとうございます」 「ふっ、いや……俺が興味あるだけだ」 そう言い、先輩は重そうなビジネスバッグを持って、オフィスを出て行った。 (時間を作る……か……先輩は今、そう言ってくれた…) 朝比奈先輩は私の1年先輩で、入社当時から仕事を丁寧に教えてくれて、相談事も親身に話を聞いてくれる優しい先輩だった。 初めて先輩に夢の話をしたのは、先輩と会話をしている時に、デジャブが起こり先に返事をしてしまい「夢で見た」と話したのが始まりだった。 (大丈夫かな? 先輩、気にしてくれてたけど……負担になったりしてないかな…?) 私は先輩が担当する取引先の締め日の処理をし、納品伝票や請求書を作成して先輩のデスクに置いておく。 食堂で同僚達とランチや休憩時間を過ごすが、夢の事が頭から離れず深く考えないようにするけれど、なかなかそうもいかない。 1日の仕事を終え終業時間になって、家に帰った。
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