多忙のはじまり

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多忙のはじまり

次の日の朝、社長から声がかかり、会議室へ向かった。 そこにはお客さんが一人いて、机にはたくさんの資料が広がっていた。 私は名刺交換をし、お客さんの話を聞いた。 詳しい内容は言えないが、簡単にいうと3Dパースを作成してほしいとのこと。 よくあるマンションの完成予想図みたいなものだ。 今までの部署で私はほとんど仕事をすることなく、1年経ってしまったため、同期のようにうまくは作れない。 だが、社長は同期と同じ技術を持っていると思ったのか私にお願いをしたのだ。 期限は一ヶ月。一ヶ月と言ってもその月は5月だったためゴールデンウィークがあり、平日日数が少なかった。 ただ、社長に頼まれたため断れず、提出までになんとか技術を習得するしかないと思い、会議終了後、すぐさま同期にソフトの使用方法を教えてもらった。 その日から20時まで残ったり遅い時は22時までとハードなスケジュールが続いた。 今まで定時で上がっていた私は、2時間以上の残業が続く日々を「仕事をしているかっこいい社会人」としてポジティブに捉えられていた日もあり、きついと思って電車の中で泣いた日もあった。 そんな日々を過ごしていたが、提出日の1週間前に完成したのだ。 私は達成感を感じ涙を流しそうになったが、ぐっと堪え、外出から帰ってきた社長に確認をしてもらった。
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