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それからというものの、修正でき次第、社長に確認、赤で修正を書き込まれる。事務所にいる全員に聞こえるように指摘する。これが毎日繰り返された。
提出3日前になり、焦っている私に社長がこう言った。
「2枚出してくれているけど、2枚目角度が違うからね?別の角度のパースはできているの?」
その瞬間、私の体は一気に冷めた。
待てよ、修正書き込まれて2日間経っているのになぜ今それを言うのだろう。
そして角度が違う?嘘だろ。
私は急いで打ち合わせ資料を確認した。
確かに私の作成した2枚のパースはお客さんの指示した角度で間違いはない。
「社長、お客さんは右前と左前でやってくれと打ち合わせ資料に書いてありますが違うんでしょうか」
自分では当たり前のことを言ったと思っていた。
だってそうだろう。お客さんは右前と左前の角度がほしいと言ったのだから、間違っているはずはない。
だが、社長はまた険しい顔をした。
「お客さんはその2枚が欲しかったかもしれないけど、右前と左前2枚出しても意味ないじゃん。後ろも欲しいでしょ。前の角度2枚出されて後ろはどうなってるのかわかるの?わからないだろ?今から作って」
そういった。
いつもだったら返事して自分の席に戻るのだが、今回ばかりは引けなかった。
「ちょっと待ってください。締め切りまで3日しか作業ができないんですよ。いきなりそう言われても1枚作るのに丸3日かかったんです。すみませんが間に合いません。」
すると社長は呆れたようにこう言った。
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