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「リッちゃんは覚えてないのかい? ……そうだよねえ」
ばあちゃんの目が潤んだ気がした。
「ばあちゃん?」
汗を拭くようにタオルで顔を覆ったばあちゃんは、しばしそうしていて。
少しだけ泣いているようだった。
どうして? ねえ、ばあちゃん?
背中をさする私に、ばあちゃんはようやく顔をあげて「大丈夫」と小さく呟いた。
「ビックリしないでね、リッちゃん。京香ちゃんはね、京香ちゃん一家はね」
――リッちゃんが小学校に上がる前の年の9月にね、死んじゃったんだよ――
ばあちゃんの言葉が理解できずに、しばらくその意味を考えた。
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