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「近寄んなブス!!」
「汚いんだよ!!デブ!!」
「あいつ、本みてニヤニヤしてんぞ。気持ちわる〜!」
うるさいなあ。誰に言ってんのか分からないけどおそらく私だ。
そう。おそらく。
中学の私は毎日のようにそう言われていた。
友達もいない。教室の隅っこで本を読んでいた。
「今日は何をしようかなあ。帰ってゲームしたいしイラスト描きたいしなあ。」
私は俗にいうアニメオタクだった。
私の学年はアニメオタク=キモいと印象付けられていたため、みんなから罵声を浴びながら、アニオタを隠さず過ごしてきた。
だってそうでしょう?アニオタの何が悪いの?
器の小さな人間は嫌いだ。
1人の人を団体でいじめる。都合のいい時だけ話しかけてくる。1人だと何もできないくせに。
いつもそう思い込みながら本を読むふりをしていた。
汚い人間を眺めるより綺麗な活字を眺めていた方がいい。
「私恋しちゃったかも〜!」
「え!誰に誰に!?」
そんな声が聞こえた。
恋ね。私には無縁だ。
髪の毛はボサボサ。ヘアアイロンなんて持っていなかったからブラシで髪の毛を気持ち整えて終わり。おしゃれにも興味はなく、修学旅行も青っぽいジーパンに変なロゴが書いてあるTシャツに普通のスニーカー。黒縁眼鏡をかけていて化粧なんてものはしていないし持ってもいない。なんなら洗顔だって3日に1回、化粧水乳液なんてものはどうやって使うのか知らない。
そんな女子力0の私に誰が恋をするか。
誰がそんな私を好きになってくれるのだろう。
私はそう思い、中学時代は静かに過ごした。
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