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そして、私は自分の浮上が止まっているのに気がつく。先程までゆっくりと天に向かって昇っていたのに。今は空中にふらふらと留まっている。
きっと、私もすぐに仲間たちと同じように落ちるのだ。
けれども、怖くはなかった。
私はすっかり思い出していたのだから。どうして自分が空に引き寄せられたのか。これから自分はどうなるのか。
胸にあるのは、またあの子に会えるという安堵だった。
ほっとしたら、また眠たくなってきた。ずっと緊張していたので、疲れてしまったのだろう。
宙で揺蕩いながら、目を閉じる。
最初はふわふわとした感覚に不安しか感じなかったりけれど、記憶が戻った途端、この浮遊感にも心地よさを覚えた。
私は微睡の中、早くあの子に会いたいなあ、と考える。次第に思考はほどけていった。もうまともに言葉が紡げなくなった時、体が少し重くなったのを感じる。
そして、私も仲間たちと同じように、地上へ落下していった。
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