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「ごめんねー、琉星くん!この子、昔ここに迷い込んた子供があやかしに喰われたのを見たことがあってさ。この子、人間が大好きだからさっきの怒りも愛ゆえなんだよ」
テンが軽快な口調でそう話すと、横に座っていたスズは真っ赤な顔をして、テンの両肩を持ってぶんぶんと揺らす。
「え、えぇい!黙れ黙れ!!私はあやかし!猫又じゃ!人間なぞ好きになってなぞおらーん!!!」
そんな二人の様子を目の前で眺める琉星は、まるで兄妹のようだと、くすっと笑ってしまう。
「ええい!そこのおぬし……ええっと、リューセイ!笑うな!!」
今度はスズがこちらに向かって座りぽかぽかと叩いてくる。
「す、すみませんっ!で、でもなんだか可愛いなって」
「!!!」
琉星の言葉にスズは、ぽかぽかと殴っていた手を止めると、ばっと突然身を離す。
何かいけないことを言っただろうか、と彼女の横にいるテンを見ると、彼は腹を抱えて笑っている。
「?」
わなわなと震えるスズは、ばっと先程まで彼女が座っていた座布団を投げつけてきたかと思うと、部屋をドタドタと出ていってしまった。
スズの座布団が顔面にクリティカルヒットした琉星は、その場に仰向けに倒れ込んでしまった。
「な、なんだったんだ?」
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