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そしてふと、琉星は先程の会話を思い出す。
***
「まあまあスズちゃん。彼はあの人の孫だよ?それにあやかし屋を任せられてるみたいだし?」
***
「あやかし屋……」
「あぁ、それね」
無自覚に呟いた言葉をテンが拾う。
「あやかし屋はここの名称だよ」
「妖珏堂の?」
「そ。元々、ここは普通にようこくどうって言われていたんだけどさ、まあ、ある人が妖珏堂の妖の字しか読めなくて、"あやかし堂"って読んじゃったらしくて」
「それからは、"よろず屋"と"あやかし堂"が混ざって今の呼び名になったんだよ」
けらけらと明るく笑うテンに、琉星も思わず口角を上げてしまう。
「あの、さっきスズさんからここはよろず屋だって聞いたんですけど、どんな仕事をしてるんですか?」
「ん?そのまんまだよ?
この世界にいるあやかし達からの依頼や仕事を解決していく。まさに何でも屋って感じだね」
「なるほど」
琉星が、納得して頷いていた時だった。
妖珏堂の扉がガラガラと開き、誰かが足を踏み入れる音がした。
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