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琉星は外に出ようと妖珏堂の扉に手を掛けた時、スズに声をかけられた。
「待て」
スズは琉星に近づき、腕に数珠のようなものを付けた。
「これは?」
「妖よけじゃ」
スズはそう告げると何かを唱え始めた。
「……〜〜〜───」
すると腕にはめられた数珠が光を放ち、琉星を優しく包む。
「……すごい」
「あやつの術を壊してしもうたからのう、詫びじゃ。受け取れ」
「……ありがとう」
「……ふん」
スズは琉星の礼には答えず鼻を鳴らした。
琉星はもう一度扉に手をかけ開けた。
その刹那、琉星の目の前に何かが飛びついてきた。
気づけば琉星は扉の前で仰向けに転がっていた。
「主様ぁ!!」
琉星の腹の上には狐のように尻尾と耳を生やした人間のような男の子が座っていた。
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