よろずや妖珏堂

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よろずや妖珏堂

駅から徒歩5分の場所にあるのは街最大の商店街。 『銀天町』 商店街の大通りを進むこと3分。 糸川薬局という、ごく普通の薬局の傍にある路地へと入る。 その先に店はない。 あるのは高く積まれたブロック塀だ。 行き止まりかと思われるその場所の右手には大人一人が背を丸め、小さくなってやっと入れる程の穴がぽっかりと空いている。 「ここか……」 そう呟くのは、近くの中学校に通う男子生徒。 名前は、月崎琉星(つきさきりゅうせい)。15歳という若さながら、容姿だけ見れば誰もが高校生、大学生に見える程だ。 そんな子供がなぜこのような場所にいるのか。それは彼の左手に持っている、一枚のメモ帳が原因だった────……。
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