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起き上がって外を見れば様々な格好のあやかし達が妖珏堂の前に群がっていた。
「──主様が帰ってきたそうじゃ」
「──なに?じゃが目の前にいるのは主様とは似ているが波動が違うぞ」
「──もしやあの人の孫か?」
「──そうじゃそうじゃ」
「──ならば歓迎せにゃなるまい」
「──酒じゃ祝酒じゃ」
やんややんやと騒ぎ出すあやかし達に気づいたスズが彼らを一喝する。
「ええい、お前らうるさいぞ!ここは宴会場じゃない。こやつは確かに孫の琉星じゃがまだ私らに慣れておらん!散れい!」
シャーっと猫が威嚇するようにスズは両手を構えると、騒いでいたあやかし達は、"スズちゃんが怒ったー!"、と口々に言いながらどこかへと散って行った。
琉星は、ふうっとため息をつきながら目の前にいる狐の男の子に声をかけた。
「えっと……君は?」
「はっ、申し遅れました。僕は白狐のシロと申します!主様である一弘様には以前助けていただいたこともあり、長らくお仕えしていた所存にございます」
そう言ってシロと名乗る男の子は深々と頭を下げた。
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