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「……い、おい!」
誰かに名前を呼ばれ琉星はふと目を覚ました。
焦点のあっていなかった目はだんだんその姿を捉えてくる。
「起きろ。これしきのことでくたばるとは……、本当にあの人の孫か?」
目の前で話しかけてくるのは、琉星と同い年くらいの女の子。
前下がりボブの、ややツリ目で琉星を見つめるその女の子は薄紫色の着物を着ていた。
「……だ、だれ!?」
琉星は驚いてその場から飛び退くように離れ、彼女の全体をじっと見つめる。
目の前にいる彼女は顔色一つ変えず真顔でじっと琉星を見据えていた。
まるであの黒猫のように───……。
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