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お金も無くなって
彼も消えてしまって
守るものも失うものもなくて
何にもなくなってしまった私は
死のうとしていたんだって
適当な雑居ビルの屋上に登って、飛び降りようとしていた
東京の夜空には星が見えないな、って思いながら
「生きていても愛されないなら、死神に愛されるのも悪くないわね」
私は彼を見て笑った
彼も不敵な笑みを浮かべている
そこで、私の記憶はまた途切れた
目を覚ますと、私は雑居ビルの屋上にいた
空には星一つ見えない
代わりに胡散臭くて魅惑的なネオンたちが、私を嘲笑うかのようにギラギラと存在感を放っていた
見覚えのある景色だけど、ここがどこかが思い出せない
なんでだろう?
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