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彼の言葉で目を覚ます
頭の中か、耳元か、聞こえたところはどこかわからないが
でも、はっきりと彼の言葉が聞こえた
『俺が売っているのは麻薬と言う名の愛
依存して、のめり込んで
そこから抜け出せない』
意味は全く分からない
でも…
「あれは…夢…現実…?」
記憶が曖昧な中で、はっきり覚えているのは
懐かしい、ずっと会いたかった元彼の顔で
大きな手で抱きしめてくれて
冗談言って笑わせてくれたり
かっこよくて頼れる
あの頃となんら変わらない元彼がいた
…別れてしまってからは
今はもう、どこで何をやっているのかすらわからない
登録されている連絡先には、メッセージが届かないから
だけれど…
見慣れた自分の部屋の寝室
身体は汗でぐっしょりと濡れている
まとわりつくシーツ
呼吸も浅い
火照った身体
薬を飲んだ後の記憶はないけど、私はまだ生きていた
でも、今はそんな事どうでもいいほど、どうでもよかった
また、薬屋の彼に会いたい
薬が欲しい
死にたいからじゃない
薬を飲んだら元彼に逢えるかもしれない、と言う気持ちの方が大きかったからだ
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