nightmare

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私はカウンターの椅子に座り、何か世話しなく動く彼に問いかける 「昨日の薬、死ねる薬じゃないでしょ」 「…君は死にたいと思って、今日来たの?」 質問には答えないけど、見透かされている きっと、私みたいな人が過去にもいたんだろうな 「…睡眠薬?」 「違うよ」 違う?でも、どう考えてもそういう薬の類だと思うけど… 「俺が売ってるのは麻薬と言う名の愛 依存して、のめり込んで、そこから抜け出せない」 またそれだ… 「ねえその言葉何なの?どういう意味?」 「そのままの意味だよ」 のらりくらり そう、最初から彼の言葉は曖昧で、あやふやで的を得ない 核心的な事は言わない つかめないんだ フルートグラスにシャンパンが注がれた 黄金色にきらきらと光る液体 そこに、彼はどこからか出した錠剤をシャンパングラスに落とした 「ねえ、私、あなたと本当にしたの…?」 フルートグラスの足を持ちながら聞いた きっとこれを飲んだら、また記憶がなくなってしまうはずだ だから、なくなる前に聞きたい事を聞いておこうと思った 彼は無言で見つめ、何も答えずに視線を逸らした 何も答えないんだな… 私は諦めてシャンパングラスを煽った また、するすると飲みやすい そうだな、これ例えるなら気の抜けたシャンパンって感じだな でも私、炭酸は弱い方が飲みやすいから好きなんだ アルコールが胃に流れ、じわじわと身体中に広がっていく感じ 視界が少し霞む 「夢の中でね…」 最後の彼の言葉は、半分ほど聞き取れなかった
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