10人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めると
頬を水滴が伝る
それが涙だと気付くのに時間はかからなかった
私は確信した
あの薬は、元彼の夢が見れる薬なんだ
どういう原理でそうなるのかはわからない
でも、もうそうだと確信を持って言える
「それにしては、夢じゃないような、生々しい感覚…」
指で頬についた雫を拭った
ベットから身体を起こそうと力を入れると
身体に衝撃が走り、同時に臀部から鈍い音がした
「いったー…」
ベットから落ちて腰を打つ
「え、何で…」
身体がひどく重い、力が入りにくくなっている
それになんだか頭も気だるいのだ
汗びっしょりの身体をシャワーで流すのも一苦労
お風呂から上がると、さらにぐったりとした気分になった
「なんか身体中が疲れてる…」
またベットに戻って横になった
その時、手に何か金属のようなものが当たる感覚
ん…?
手の先を見ると、それは元彼が作ってくれたペアネックレスだったんだ
「こ、これって…」
私の名前が入ったプレートは、彼が持っているはずの、ネックレスだ
「夢じゃない…って事…?」
私は重たい体を奮い立たせ、ネックレスを握りしめると、あの彼の元へ向かった
薬屋の、あの男の元に
彼の店までの道のりが、いつもの数倍かかったように感じた
重たい扉を、全体重をかけて身体で押し開ける
「いた…」
カウンターにはベストを来た男が、亡霊のように突っ立っていた
「おかえり」
彼は不敵な微笑みを向けた
最初のコメントを投稿しよう!