幼馴染

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幼馴染

「セイ、セイ」 「なんだよ、ショウタ」 幼馴染のセイは俺の親友であり姉のような存在だった。 ちょこまかちょこまかついて行く俺を受け入れて手を引いてくれた。 セイは女子にも男子にも人気があって俺の両親も気に入っていた。 「セイ」 「なんだ?」 「ショウタの嫁に来てくれるんだよな?」 「は?行かねえし。アイツは弟だよ」 父さんとセイはよくこんな会話をしていた。 でも、弟と言われて俺が拗ねてからセイは俺のことを弟とは言わなくなった。 セイはなんでも出来た。 俺もセイに追いつきたくて努力してくらいつていった。 待ち合わせ場所でセイを待つ。 あれから、高校の時にセイが引っ越してから数年ぶりに会う。 メールや電話でのやり取りはしていたが直接会うのは久しぶりだ。 自然と笑みがこぼれた。 ーー ショウタは私にとって幼馴染で親友で弟のような存在だ。 コイツにはかなわない。 おねだりされたりするとだいたい負ける。 なんてったってあざといのだ。 おやつを食べてる時とかに、 「セイ、セイ」 「どした、ショウタ」 「それ半分ちょうだい?」 なんて、首を傾げて言われるとうっかりあげてしまう。 前に同じクラスの男子から甘やかしすぎと言われたが、可愛いのだ。しょうがない。 天然であざと可愛いのは罪だ。 そんなショウタも大きくなるにつれて整った顔立ちの美青年に成長した。 正直、相変わらず天然だしあざといが背丈は自分よりも大きくなっていた。 そんなショウタとは今日、数年ぶりに会う。 私が高校生の時に引っ越してからもうずっと会っていない。 アイツは元気にしてるだろうか。 待ち合わせ場所へ行く足をはやめる。 その足取りはいつもより軽かった。
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