3人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
計画を、実行する時が来た。
お披露目の、二日前のことだ。
アオイはお披露目の準備のため、部屋にいない。中にいるのは王子だけという状態だった。扉の前には、護衛もいない。ここは、地下の奥深くにある秘密の部屋で、アオイも王子も、誰にも知られていないと思っているのだと、ハネズが言っていた。
ハネズは、なぜか持っていた鍵で、何の問題もなく扉を開いた。二重扉になっていたけど、二つとも問題なく開けていた。
扉の先には、一人の青年がいた。僕よりずっと小さくて、だけど、ちゃんと鍛えているというのは服の上からでもなんとなくわかる体格をしているのが、後ろ姿からでもわかった。
「誰だっ。」
扉に背を向けていた青年が振り向き、叫んだ。王子にしては少し間の抜けた顔をしているような気がした。腰から短剣を取り出し、僕達の方に刃先を向けてくる。
「誰の許可を得てここに来たっ。ここは」
「はいはい、そういうのはいいから。」
ハネズは相変わらず口元に笑みを浮かべながらそんなことを言っている。
僕は眉を吊り上げている青年に近づき、短剣を払い落とす。そして、素早く背後に回ると、何の問題もなく羽交い締めにする。
「何をするっ。私はこの国の王になる男だっ。私に刃向かうとい」
「そんなことはどうでもいい。僕はアオイを傷付けるものは許さない。」
「アオイを?きずつける?...何を言う、アオイと私は」
彼に皆まで言わせず、ハネズは僕が羽交い締めにしている王子の心臓を、いとも簡単にひとつきした。使われたのは、先程僕が払い落とした彼の短剣だった。王子は、簡単に動かなくなった。
「僕、この人の言葉、最後まで聞いてないんだけど。」
「そんな必要はない。ただの戯れ言だ。聞く価値なんてないぜ。」
ハネズはそう、いつも通りの笑みを浮かべながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!