3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ベニ様、参りましょう。」
お披露目の日が、やってきた。
僕の隣では、アオイが笑っている。
僕がよく知っている、太陽のような眩しい笑顔を浮かべて。
あの後、僕はアオイの手当てをした。頑丈とまではいかないけど、戦闘用の服を身に纏っていてくれたおかげで、一命を取り留めていた。アオイは、王子の護衛も兼ねていたのだろう。
アオイは助かった。そして、目覚めた時、側にいた僕に向かって、太陽のような眩しい笑顔を向けてくれた。『ベニ様』と甘く口にして、ふわりと抱き着いてきた。
だから、僕は『ベニ』になることにした。アオイに太陽のような笑顔を向けられるのは、僕であるべきだから。
「アオはずっとベニ様の側におりますよ。」
昔と変わらない太陽のような笑顔に、僕はそっと微笑みかけていた。
最初のコメントを投稿しよう!