番外編 

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照輝くん可愛いですよね 急遽書きました 雑ですごめんなさい ▼▼ 【ホワイト・シークレット・スイーツ】 「いいですよ!はい、そのまま。いいね!はい!スマイル!」 「えっ、あっ、す、スマイルぅ~…………ッ」 我ながら歪な笑顔を作って笑う 表情筋が痙攣して辛い 「ほら!もっと自然に。そうそういいね!そのまま視線頂戴!」 カメラマンとして火がついたのかすごい姿勢で東のお父さんはカメラのシャッターを押しているようだ また腰痛めないといいけど… 「ほら集中!」 「は、はい!」 「あひっ!アヒャヒャヒャ!!ぶはぁ!!」 「………チッ」 控えにいるきーくんが一人で大笑いしているのが視界に入りイラっとする お前のせいだろうがコラ つい睨みつけるがキョトンとしたあとグッジョブと親指を立てられた 「いいね!その目がいいよ!」 いいのか?本当に? もう困惑してしまいそれでもモデルとして指示通り頑張っている 「馨くん、とっても素敵です!」 カメラマンの隣で同様になぜかテンションをあげた照輝くんがカメラマンに指示している 現場監督のような貫禄でいるが、先ほどまでモデルとして活躍していたからその姿は衣装に包まれていた 「そろそろ一緒に撮ろうか。二人並んでね。はいこれ持って。これもね」 放り投げられた白いブーケを受け取りキョトンと立つ 隣に青いラッピングがされたプレゼントをもって背後に White dayと書かれたパネルの前に立つ照輝くん ここはスタジオだった 白いタキシードに青いハンカチ、照輝くんは水色のリボンで俺は青いネクタイだ 今日はホワイトデー そしてなぜか、ホワイトデーのモデルとして撮影に臨んでいた 「え?なんて?」 「どぅあかぁらぁ~、手伝ってちょ!」 「だからぁ、主語がない。何を手伝えばいいんだよ」 「だから!ライオン丸をだま……説得するのを手伝って欲しいんすよー」 そう宣ってうちに突撃してきたのは親友のきーくん 悪友ともいう 奴が言うには、商店街でホワイトデーキャンペーンをするらしく そのイメージポスターと撮影モデルとして起用したいと言う だが照輝くんに直撃したら言い終える前に嫌ですと即答され扉を閉められたらしい それで朝っぱらからお隣のうちに来たらしい 「東さん!馨くんに迷惑かけないでください!」 照輝くんが現れた ライトグリーンのパーカーがよく似合っている この前出かけて買った奴だった 「おはよう照輝くん」 「おはようございます馨くん。すみません朝から」 ペコリと頭を下げた照輝くんの頭を撫でてそんなことないよと言う 「俺と態度違くね?俺も撫でろよ撫でろぉー!」 ぐりぐりと頭突きしてくる 地味に痛い 「ダメです!却下!」 俺の腰を支えて背に庇ってくれた 小学生に守られてしまった 今更だけど… 「わぅわぅ!わうぐるる!!」 「日本語でお願いします!」 「耳をかせおチビ!」 「ッ!…チビじゃ……ん?」 抵抗する照輝君をおさえて何か耳打ちするきーくん 嫌な予感がする とりあえず洗濯物の続きをしたい タオルをパンッと伸ばして干す いーー天気だ 「で、でも…」 チラッと照輝くんがこちらを見やる どうしたんだ? パンツの皺を伸ばしたら何故か赤面された 悪い顔をしながらきーくんが肩を組んでくる重い… 「なんだよ洗濯物の邪魔しないで」 「まぁまぁ聞いてくれよ相棒」 悪巧みを話すように耳打ちしてきた 「うちの親父がさ。商店街のイメージモデルとしてライオン丸をモデルにしたいんだとさ。で俺に交渉してこいって言われたんだけどこの有様で」 「自業自得」 パンッ よく乾きそうだなぁー 「頼むからさ手伝ってよー。お駄賃でるし、ね?お願い!」 「うーん…照輝くんが嫌なことを勧められないよ」 「大丈夫!問題なのは俺が誘ってることだし。こいつ一人じゃ心細いんだよ。かおるっちがいれば安心だし」 「んーでもなぁ」 チラッと照輝くんを見ると不安そうな顔をしていた 「照輝くんはモデル自体は嫌かな?」 「いえ、それは特に嫌ではないです」 つまりきーくんだけが問題なのね 「お駄賃出るし嫌じゃないならやってみてもいいかもね。心配なら、俺も着いて行ってあげるし」 「いいんですか?迷惑じゃ…」 「予定ないし、照輝くんのためだったら全然いいよ。洗濯もの終わったら準備するから待ってて」 「手伝います!」 嬉しそうな声でそう言って洗濯物籠から洗濯物を取り出した 「よっしゃ!じゃ先いってっから後でなー!」 スタコラと去っていくきーくんを見つつ息を吐く 忙しない奴だ パンッ 「お手伝いありがとう今日あったかいからすぐ……に」 振り返ると俺のパンツを広げて 耳を赤くしながら固まっている照輝くんがいた そんなにダサいかな……今度新しいの買おう ▼ 「はーい。次バックハグね」 「「ばっく、はぐ……」」 隣の照輝くんと同時に振り返り見つめ合う 「し、失礼します….」 「う……ん?」 おずおずと正装をした照輝くんが後ろに立つ 「あー逆ね逆」 「………………」 しょぼんとして俺の前に立った こう、かな ギュッ 「ッ!!」 ビクッと照輝くんが振動した 大丈夫か? フラッシュが焚かれる 眩しいけど、我慢する。照輝くんもしっかりとモデルをこなしているし年上の俺がしっかりしないとな ラフ版を持ったキーくんの存在が結構ウザかった 「そうそうもっと、親密そうに。頭にほっぺたくっつけて」 「こう……?」 「ッ!?」 柔らかな髪に頬を寄せる。ふんわりとシャンプーの香りがしていい匂いだった。照輝くんの体温はあったかくて緊張しているのかと思い、小声で大丈夫かと問うと震え声で大丈夫ですと返事をしてくれた 初めての経験だろうし、さっきソロの撮影はすごいしっかりとこなしていたのに疲れてきたのかもしれない この後の休憩まで後少しだ 「次交代」 交代? きーくんが白い木の椅子を持ってきた 「それに座って、照輝くんがガバッと、ガバッと後ろから抱きしめて」 「が、ガバッと抱きしめる!?」 流石の照輝くんでもこのオーダーは予想外だったらしく驚いている その間にきーくんが小さなブーケを俺に持たせて、固まっている照輝くんにセットされた髪を直してフワッとしたミルクベージュのストールを持たせた 「それ使って包み込むように頼むよ」 「照輝くん?」 「うっ、あ……はい」 意識を取り戻して指示の通り椅子に座った俺に覆い被さるようにバックハグをする ストールが前に垂れる ハグをしたことはあるけど、こんな風に密接な関係なようなはずはしたことがなく、さすがに緊張して照れてしまう 照輝くんの僅かに早い吐息が首筋を撫でる くすぐったいような刺激に、長くは耐えられないと思った 「いいね!撮るよ」 早よしてくれと念じながら耐える 笑顔だとか目線だとか強請るようにとかよくわからない命令を聞いて時間が過ぎた はぁ、つら 「ok!最高だよ。疲れたろ休憩していい。喜一たち次だ」 「ういうい~」 黒と青のスーツを着たきーくんと守がやって来た いつの間にか着替えてきたようだ 「あ!馨兄ちゃんかっこいい!」 「ありがとう守。お前もかっこいいじゃん」 そう言って守のツルツルの黒髪を撫でる ツンツンとした髪質で刺さった 後退して休憩室 東家のリビングで休む 冷たいジュースと菓子箱にお菓子が入っていた 「どうぞ。オレンジでいい?」 「はい。ありがとうございます」 俺より疲れ果てている照輝くんを見やる 撮影疲れるよな よし 「馨くん?」 「マッサージしてあげる。結構うまいんだぜ?」 ジャケットを脱いだ輝樹くんの肩を揉む 細いがしっかりした肩にしっかりとした筋肉を感じた まだ出会って一年、見る見るうちに彼は立派に成長していく 丸みのある幼げな顔立ちからだんだんとしっかりとした輪郭となり男性的に成長しているようだ ますますカッコ良くなっているけど、どこか寂しく感じてしまうのは勝手だろうか 「次、交換したいです」 「俺?俺はいいよ」 「いえ!やらせてください」 「まぁ、じゃ頼むよ」 交代して俺はジャケットを椅子にかけた 照輝くんの俺より高い体温の手が肩に触れ温もりが伝わってくる そしてしっかりとした力で、でも痛くないように加減をしながら揉んでくれる 花枝さんによく肩揉みをするようで、上手だった 彼の優しさを感じることができた 「どう、ですか?」 「………気持ちいいよ」 「なら、よかったです」 少しおしゃべりしながら休憩する まだ撮影は続いているようで、指示通り動かない二人に父親ですら手を焼いているようだった 最後にみんなで撮るまでまだかかるな ふと見ると照輝くんが部屋にたくさん飾られた 家族写真を見ていた その中には小さな頃の俺ときーくんの写真もある 弟と守のもだ 光が差し込む部屋に様々な額縁に入った写真たち この中には過去がある 静かに見つめている照輝くんの横顔を見て どんな気持ちで、何を考えて写真を見ているのか気になったがそれを知るのは俺にはまだ、遠い気がした 同じ時間を過ごし前より知っていることが増えたが 知らない事が沢山あると知っていく日々だ 家族を失った俺 家族がいなかった彼 大きな違いが大きな壁となっている まだ、これからだよな でも俺は当たり前が当たり前ではないと知っている 「ねぇ…照輝くん」 「…はい」 ややぼんやりとした返事だった どうか 遠くへ行かないで 言葉にできない言葉が胸に残る 突然沸いたそんな身勝手な言葉に自分で驚いた 一呼吸置いて、言葉を紡ぐ 「見せたいものがあるんだ」 「見せたい…ものですか?」 気になったらしく俺が促したまま席に座る 俺の後ろにはガラス戸の外に小さな花壇がある 彼の後ろには沢山の思い出が、ある 俺は照輝くんに見つめられたまま持ってきた鞄から箱を取り出す 緊張で少し手が震える 形は崩れていないか、箱はへこんでないか 君と出会ってから誰かに贈ると言う行為が楽しみであり、難しく悩ませるものになった そしてその嬉しさと温かさを知る事ができた 「これ、バレンタインのお返しです…」 なぜか敬語になった それに触れず照輝くんは目を丸くし髪をフワッと立たせて驚いているようだった なんだかドッキリが成功したようで楽しくなる 「俺も色々悩んだけど、照輝くんみたいにセンスもないし迷いまくっててわからなくなったけど。貰ってくれる?」 箱を手渡す ひんやり冷たい感触が箱から伝わり 僅かに触れた指先から照輝くんの熱が伝わった 箱を受け取り俺と箱を交互に見てる ふふ、びっくりして慌ててるんだな 「……照輝くん?」 「び」 「び?」 「吃驚しました。お返し、あの、気を使わせてしまったならすみません」 照輝くんらしいけどそれは違うな 「そんなこと言わないでよ。バレンタインチョコ、嬉しかったからさ。悩んだけど楽しかったし照輝くんが喜んでくれたらなって考えて用意したから。どうだったかだけ教えてほしいよ」 「…馨くんから貰えただけでも、ものすごく嬉しくて、吃驚です。開けてもいいですか?」 「どうぞ」 照輝くんは丁寧に箱を開けると 中から白とピンクっぽいカラーの二色のマカロンが入っている ……実は手作りだったり 難しくて何回も失敗した そのお陰で自分でもいいのができたと自負している 「これってテレビで見たことあります。マカロンですか?」 「そうそう。よく知ってるね。既製品でもいいかと思ったんだけど作ってみたくなって。やっぱりプロには敵わないけど、頑張ってみたから美味しいと思うよ」 「すごく素敵です。すごい綺麗です。素晴らしいです!」 語彙量が下がってしまったように箱を両手で持って俺を褒めまくるのを俺は顔を赤くして止めた 「た、食べてみてよ」 「…はい。でも勿体ない。うぅ、あっ!」 何か思いついたのか、箱をテーブルに置いてスマホを取り出してカシャっと撮った ここまでされると照れるな… と思ったらカシャシャシャシャシャと連写し始めたので止めた 「では、いただきます…」 「どうぞ」 俺は冷蔵庫からアイスティーを拝借して照輝くんの前にコップを置いた パクッ……!! 「美味しいです!とっても!最高です!馨くんは天才です!!」 一つ食べてその褒めようで作ってよかったと心から思った 「よかったぁ。美味しくなかったらどうしようかと思ったよ」 「馨くんが作ったものは世界一美味しいです」 「それは言い過ぎたよ」 「過言ではありません」 即答だった 目の前に一つピンクのマカロンが差し出される 中にはイチゴジャムをベースにしたクリームが入ってある 「一緒に、食べませんか?」 「じゃあ、ひとつだけ」 サクッ………うん、美味しいじゃん俺 自画自賛である 「あの、残りはゆっくり、大事に食べてもいいですか?」 そんなことを恐る恐る言われた 自分が用意したものを大事にされて俺はちょっと泣きそうになった 「もちろんだよ。ありがとう照輝くん。大事にしてくれて」 「僕こそありがとうございます!大事にします。…だって馨くんに貰ったものだから…」 大切そうに言われた 君のその真心がいつも俺を救ってくれる ありがとう照輝くん 「おーーい!もうすぐだってよ撮影。この服堅苦しいわぁ脱ぎてぇ。今すぐ脱ぎてぇ」 ドンと扉を開けてきーくんがやってきた 「もういや!兄ちゃんも父ちゃんもうるさい!」 半泣きでやってきた守が抱きついてきた 頭を優しく撫でてあげた きっと二人に挟まれて大変だったのだろう 「んん?今なんか隠さなかったか?」 「な、何も隠してません!離れてください!」 目敏く見つけたのか照輝くんの服が入っていたリュックににじり寄るきーくんに牽制するように立ちはだかっている照輝くん 「ねぇねぇ何かいいことあった?馨兄ちゃん?」 膝の上で尋ねる守に俺は微笑みながら言った 「そうだね。とってもいい事あったよ」 「ええー!なになに?教えてよ」 「んー守でも、内緒かなぁ」 「えーいいなぁ教えてよぉ」 甘える守をかわしながら遊ぶ 隣では掴み合いをしている二人がいた 照輝くんと目があった 内緒だよ 口の動きで伝わったのか頬を染めて頷いた 訝しむ様子のきーくんにもみくちゃされながらも笑い声が響き渡る 初めてのホワイトデーは とても賑やかだった マカロンの意味は君にも内緒だよ 恥ずかしいからね
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