番外編 

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遅刻季節イベです バレンタイン編 慎ましく穏やかにいちゃつかせたい作者です? エブリスタで⭐︎100ありがとうございます!!! 心から感謝いたします! 【サクラ・チョコ・レイト】 うーーーん……… ……… 変だ 違和感を感じてしまう 「……」 「ッ!……」プイ 顔を逸らされてしまった 目が合うとこうだ フワッと毛並み…じゃなくてツヤツヤして陽を浴びて黄金色に光る綺麗な髪を立たせていつもは目は幼いのに凛とした眉が今日に限って怯える子犬のように眉が八の字になっている 心なしか頬が赤い どうしてこうなった? 日曜の昼間 スマホのラインで小学生らしくなく、照輝君らしいかたい文章でお呼ばれしたのだ 『謹啓 こんばんは。春寒く感じる季節になりましたね。僕は以前頂いたマフラーがあるおかげで、とてもあったかく過ごせます。おばあちゃんは寒くて腰が痛いとよく言っていて、商店街の人たちと銭湯によく行っています。 馨くんはお身体は大丈夫ですか?寒くて風邪をひいていないか心配です。しっかり者の馨君なら大丈夫だと知っていますが万が一ということもあります。何かありましたら、なんでも僕に頼ってください。 本題ですが、日曜日昼にお時間いただけませんでしょうか? お忙しいと思いますが、ご一考ください。 謹白 余談ですが、守がインフルエンザで休んでいます。お気をつけてお過ごしください。 』 夜中の九時ピッタシに来たメッセージだ 一瞬ビジネスメールかと思ったぐらいで驚いた きっと悩みに悩んで文字を打ったのだろう 固すぎる文章でつい笑ってしまう お隣さんで徒歩数秒なのにこの手間をするあたり、照輝くんらしいと俺は感じる 机の上に置いてペンを置いて湯気立つマグカップを両手で掴む ふわりと香ばしいほうじ茶の香りが落ち着かせてくれる 窓を見ると既に照輝君の部屋の明かりは消えていて寝てしまったのだろう 残り三日、テスト明けのため早く帰宅できるし 帰りに買い物をして帰ろう 明かりを消してベッドに横になる 体がぽかぽかするのはお茶のせいだけではないだろう そして日曜日 オレンジ色のマフラーをして薄いダウンを羽織る 中にはカーディガンを着ていた これで防寒対策はいいだろう まだ冷たい風が吹き寒暖差が激しくて風邪をひく人が多いと朝のニュースで言っていた 鏡から離れて玄関に立つ 「行ってきます」 静かに扉が閉まる ガチャッと重い音がして、扉が閉められた 公園に着くとあの場所に植えてある桜の木が葉桜…と言ってもほぼ桜の花は無くて、チラホラと萎んだ花や小さな花が見受けられるぐらいだった それを見て、春が過ぎ季節の変わりを感じた きっとすぐに青々とした緑の葉が暑い日の光を浴びるようになるだろう なんだか少し…寂しい、のかどこか寂寞感を感じた そんな事を思いながら公園内の歩道を歩くと木の下にあるベンチに、人影を見た 綺麗な青のマフラーから少し赤くなった耳とふわりと冷えた風に揺られる髪が照輝くんだとわかった つい小さく笑みを浮かべ 僅かに早足になって向かう するとベンチに膝の上に拳を乗せて座りまっすぐ背を伸ばした姿勢のよい姿に、照輝くんらしさを感じて笑い声が漏れてしまう 俺に気づいた照輝君は、目を大きく開き青い瞳が輝いているように見えた だが俺が笑っていたせいで怪訝そうな顔をしたものの、ベンチから立って綺麗にお辞儀をして挨拶をした 「おはようございます。馨くん」 「おはよう照輝くん。てかもうすぐお昼だけど」 そう言って互いに微笑む 緩やかで穏やかな、温かい空気が二人を包む 促されてベンチに座った さりげなく座る場所を拭いてくれて紳士具合に驚く どこで身に付けたのだろうか… そして他愛無い会話をしていた 二時間ほど 照輝とのお喋りは楽しいし、小学生なのに巧みな話題とこちらの話を真剣に聞いてくれて言葉にしてくれる だが陽だまりの中でベンチに座って長々と話していると日向ぼっこしにきた人のようで、座っている間に公園内の人が結構入れ替わっていた もうすぐ二時だ 「…でして、先生が妊婦さんになって休職するそうでクラスみんなでメッセージカードを書くことになったんです。守がなぜか急病と勘違いして『先生!はやく元気になって戻ってきてね!うちの母ちゃんもよく腰が痛いって言ってるからわかるけどよくなりますように!』って大きく書いてしまって書き直しになりました。なぜぎっくり腰と勘違いしたかは謎のままです」 「あははっ!守らしいなぁ。ぎっくり腰か。爺ちゃんもなったけどあれは辛そうだったなぁ。てか照輝くんの守のモノマネクオリティすごいね」 ニコッと笑う照輝くん 楽しそうに話してくれるからこっちまで嬉しくなる 「守がよく騒ぐからと言ったら、そんな事ないって言われてなら真似して見ようってやってたらこんなことになりました。今ではクラスメイトにも評判です」 真面目にそう話す照輝くんに笑ってしまう 笑うたびにこちらを窺って、嬉しそうに微笑むのですこし照れ臭い 「照輝くんそう言えば、用事があるんだよね?」 そう尋ねると朗らかな雰囲気が一瞬で固まる 何かまずい事を言ってしまったのか、照輝くんは片眉をピクピクと動かし固まってしまう そして冒頭に戻る 話しかけてもえっと、……あの と返事はしてくれるがそわそわしてしまい進まない なぜか、照れている?のか ベンチに向き合って座っていたのに 今は体を固めたまま就活生のように座りチラチラとこちらを窺っている んーー…どうしたものか 「……お腹、すかない?」 「……あ、あれ?お昼は?」 一応十時ごろ軽くパンを食べたがお昼頃会うし何か食べるかと思って控えめにしていた 慌てた様子でベンチを立ち上がった照輝くん 俺とは反対側にあのショルダーバックを置いておりそれを背負って俺を見る 「では何か見繕ってきます!」 「ちょ、ちょい待ち!!」 何か挙動不審というか先走っている感じが否めない彼の腕を掴んで呼び止める コテンと首を傾げる仕草は可愛いけども落ち着いて 「俺も行くから。何か買って、どこかで休もうよ」 そういうとこくんと頷いて逆に俺の手を掴み直してベンチから立ち上がらせてくれる そのまま当たり前のように手を繋いで歩く でも違和感もなく、照輝君の温かい手と繋ぐのは嫌じゃ無いからそのままだった 空は青く白い雲が疎にあり日が暖かった まだ冷たい風は吹いている 地面に散った桜の花を見遣り、歩き出した 「どうぞ」 「お邪魔します」 ガラガラと音を立てて扉が閉まる 「服預かります」 「ありがとう」 俺の着ていたダウンを受け取り足速に中の奥に進んだ照輝くんに、遅れて中を進む 今日は休業らしく花枝さんはお出かけしているようで中はしんとしていた パタンと上から照輝君が降りてきた 「冷蔵庫にしまってきます。馨くんは休んでいてください。あっ」 「大丈夫。しまうの俺も手伝うから。あーお腹すいたー」 態とらしく言って荷物を奪って台所へと向かう 慌てて照輝くんが追ってくる 台所は花枝さんが毎日使って整頓してあるから綺麗だ 使わせてもらうから綺麗に使わないとな 商店街で買ってきた食材を使うものだけテーブルに置き残りを冷蔵庫にしまう 中はきちんと小分けされており、美味しそうな料理とお漬物や作り置きのお茶がしまってあった 「じゃあ調理器具借りるよー」 「はい。手伝います」 俺がコンロにフライパンを置く間に食材を並べてくれる 取り出した包丁を見て俺は焦った 「ストップ!」 「ッ!」 本当に時が止まったように固まり、目だけでこちらを窺っている 「包丁とか普段どうしてる?」 「包丁…ですか?基本一人では使ってはダメってなっています。お手伝いする時は簡単な作業ならさせて貰っています」 「そう。うーん。じゃあとりあえず玉ねぎの皮むきと野菜軽く洗ってもらえる?わからなかったら聞いてね」 「はい!」 手伝いを願うと嬉しそうに返事をしてくれた 弟の瑞季ならえーと文句を言いながらだったろう 俺は照輝くんの隣で大鍋に水を入れてお湯を沸かす フライパンにオリーブオイルを引いて弱火で温める うちの薄いまな板ではなく厚い木のまな板を借り、ウィンナーを切る ベーコンでもよかったけどうちではウィンナーだった それをフライパンに入れるとジュッと音がした 「馨くん用意できました。これでいいですか?」 「うん。ありがとう。ちゃんとできてるよ」 そう言うとニコッと笑って流しのゴミを片付け始めた きっと普段からお手伝いをしているから手慣れているようだ 花枝さんはしっかり者でテキパキと動くけどやはり大変な作業もあるようで一緒にいる時もものを運んだり負担がかかりそうなことは照輝君が率先して動いていた 二人の生活を垣間見るたびに絆の深さを感じる 「馨くん?」 「ん?おっとと」 焦げないように慌ててフライパンを振る 玉ねぎを深さを二分の一にして細いくし切りに、それを手早くフライパンに入れる 「照輝くんフライパン炒めててくれる?」 「はい」 菜箸を渡す フライパンの取っ手を掴み端でパラパラと炒め始めた 大丈夫そうだな 俺はそれを見つつマッシュルームを切りピーマンも切った 「あれピーマンとか苦手?」 「ピーマンですか?好きです」 小学生からピーマンを好きだと聞くことがあるとは まぁ照輝君は好き嫌いなさそうだ 「照輝くんって苦手な食べ物ある?」 フライパンにマッシュルームを入れる お湯が沸騰したようでさっと塩を入れパスタを入れた 少しオリーブオイルも入れる。くっつかないらしい スマホでタイマーを五分にセットした 「苦手なもの……特には」 珍しく歯切れが悪い。そう思って横目で見ると少しバツが悪そうな顔をして話し出す 「実は、辛いものが苦手です」 「そうなんだ。俺も普通、だけど激辛とか無理」 「七味ぐらいなら平気です。でもキムチはちょっと、苦手です」 ほうほう、あの照輝君に苦手なものがあると知れて嬉しい また彼について知っている事が一つ増えた 「馨くんは苦手なもの、ありますか?」 俺の真似なのか、一回目の鍋振りは失敗して具材は動かなかったが二回目はキチンとクルリと鍋の底で回転したようだ 「俺?あー、酸っぱいものかなぁ。なます苦手。レモンとかポン酢とかは平気だよ」 「なるほど。なます….」 ブツブツと小声で酸っぱいものを列挙している 「だいたい火が通ったね。そのまま炒めてて」 「わかりました」 ピーマンをさっと入れて自分は洗い物をする 調理をしながら片付け これが綺麗に台所を保つ秘訣だと、母は言っていた ザルを用意してハンカチで手を拭く フライパンを見るとちょうど良さそうだ 「そういえば」 「はい」 冷蔵庫からケチャップとバターを取り出す これは家に置いていないと言うので買ってきたものだ 「公園でも言ってた用事ってなんなのか、なって…」 そう言いながらしゃがんでいた体勢のまま見上げて照輝くんを見たら固まっていた 耳が真っ赤だった んん?変なこと言ったか? 「て」ピピピピ! … タイマーが鳴ったから大鍋を持つ 「あ、俺が!」 「大丈夫、危ないから離れててね」 お湯をゆっくり流しに捨てながら、麺をザルに上げる それにオリーブオイルを回しかけて乾燥とくっつくのを防ぐ 「フライパン貸して」 「はい」 交代して菜箸を受け取る そこにたっぷりのケチャップを入れる 飛び跳ねるので手早く混ぜる そこに一欠片のバターを入れた いい香りが部屋に充満する 「よしいい感じ。麺ちょうだい」 「はい!」 ザルを持った照輝くんがフライパンに麺を投入し手早く混ぜる そして二、三度鍋をふって完成だ 「お皿お皿…」 準備してなかったと振り返ると二枚の皿を持った照輝くんが待機していた できる子だ 「ありがとう」 盛り付けして、パセリをかける 「テーブルに運んでもらえる?」 「はい」 フライパンの中をキッキングペーパーで拭って置く それを洗って居間に行くと食卓に冷たいお茶と 作ったばかりのナポリタンがゆっくりと湯気を出しながら置かれていた。フォークも並べてある 商店街で買った小洒落たサラダもお皿に移し替えてあり 様になっていた 「お腹すいたね」 「はい!作ってくれてありがとうございます!」 「こちらこそお手伝いありがとう」 照輝くんは俺がお昼を作ると言ってからずっと嬉しそうに、はしゃいでいるような気がしてそれが俺の事となると恥ずかしいような嬉しい気がした 「それじゃあ」 「「いただきます!」」 ナポリタンをフォークでくるくると巻いたまま、照輝くんを見やる 彼は丁寧にくるくるとナポリタンを巻くと一度フゥーと息をかけて大きく口を開けて咀嚼した すると目を大きくしてモグモグと食べた 「馨くん!とっても美味しいです!」 口の端にソースをつけて珍しく年相応な態度でそう言った彼に、俺は笑顔になる 「ならよかった」 「あっ……あ、ありがとうございます」 つい指で拭ってしまった 反射的だった。弟相手にもあまりしたことがない 「ごめんつい」 「……いえ、恥ずかしいけど嬉しいです」 照れたように言って食事を再開した 丁寧にくるくると巻いて食べてくれる 大事に食べてくれているようで嬉しい 嬉しい?ああ、照輝くんは子供っぽい事をしないから拭ってもらうようなコミュニケーションをしたことがないのかもしれないな 俺だって小さい頃にしてもらったことがある気がする そのまま静かに食事をする 喋りながら食事もするけど、みんなとじゃなくて二人っきりだと静かに黙々と食べる それが自然で、なんだか居心地がいい 冷茶が喉を潤して一息つく 庭から小鳥の囀りが聞こえ穏やかな時間のを過ごす。まるで切り取られた世界に二人だけいるようだ…なんてロマンチックすぎるかな 「ご馳走様でした!」 「足りた?」 「はい!とっても美味しかったです!」 「そりゃよかったよ。変なものを食べさせたら花枝さんに怒られちゃうからな」 「そんな事ないですよ!馨くんに作ってもらったものならたとえどんなものでも、大切に食べます」 「そ、そう…ありがとう」 ちょっとした軽口だったが真剣に返されたので気恥ずかしくなる 残りの冷茶を飲む おかわりをするか尋ねられたが手を振って断った あとは二人で洗い物をして、暖かい日差しが当たっている縁側で照輝くんの淹れてくれた玄米茶を飲むでいた 香ばしい香りが美味しい 「あっ」 石床にチュチュンと可愛らしい鳴き声と共に、二羽の雀が現れた 隣に座っていた照輝くんも気づいたようで、こちらを見てにこりと微笑む それだけなのにまるで映画のワンシーンのようで見惚れる 普段は凛としていて大人っぽくて、でも友達やきーくんに絡まれたりすると年相応に怒ったり慌てたりして可愛い照輝くん でも二人でいる時たまに、ドキッとするような表情をする 「可愛いですね」 「え!?」 「?…雀とか野鳥はよく来るんですよ。おばあちゃんがよくお米とかあげています」 そう言って照輝くんが手を伸ばすと一羽が指に飛び乗った すごい。人に慣れているんだな 顔を忙しく動かして見ている 一瞬、俺に言われたのかと思って吃驚したのは言えないな 少し照輝くんの手に乗っていたが、食べ物がもらえないからか飛んでしまった すぐ近くの梅の木の枝にとまる 丸みを帯びた小さな梅の花が咲いていて綺麗だった 隣には白い梅の花も咲いていて、季節を感じることができた ほのかに梅の香りがして、気持ちが落ち着く 二人でゆったりとしながら時を過ごす まるで老後の過ごし方だが俺は好きだった すると隣に座る照輝くんがお茶のおかわりを淹れてくれた後、なぜか緊張した面立ちでこちらに向いて正座していた その手には小さなラッピングされた箱を持っていた 「あの、馨くん….」 「はい?」 ゴクッと飲み込む音がしたあと一呼吸して、意を決したように真剣な顔になった 何事だろうか? 「これを、どうぞ」 献上するかのように差し出されたものを驚きながらも受け取る 黄色い包装紙に水色のリボンがしてある小箱だ 僅かに冷たい温度で、白瀬家に着いた時照輝くんが急いで冷蔵庫にバッグから取り出してしまったのを横目に見ていた きっとそれだろう 「これは?」 「…今日はバレンタインなので、た、大切な人に気持ちを込めて贈り物をする日だとおばあちゃんに教えてもらいこれを用意しました。どうか、受け取ってほしいです」 緊張して頬を染めながらもしっかりとこちらを見ていた照輝くん その真摯さに胸が熱くなった そっか….わざわざ用意してくれたんだ 「ありがとう。嬉しいよ。開けて見てもいい?」 こくんと頷かれたので、丁寧に開封する 開けるとブランドロゴがある青い箱の中に、綺麗なチョコが敷き詰められていた 予想はしてたけど、嬉しい 「……あの、どんなものがいいかずっと考えていて。いっぱいいっぱい考えてどれもいいような、ダメなような気もしてしまってそれでも馨くんが喜んでもらえるものを選んだつもりです」 このチョコ、通学路の電信柱に広告が貼ってあって隣町のデパートでバレンタインフェアのものじゃないだろうか そう尋ねると照れ臭そうにして、先日一人で電車に乗って買ってきたそうだ あそこの販売所は女性に溢れているだろうし小学生男子が一人でチョコを買いに行く姿を想像して胸が熱くなる それだけで嬉しくなった 「いろいろ手作りとかも悩んで失敗するよりは美味しいものを送りたくて。味見してどれも美味しかったんですが四時間もいたらいろんな人に話しかけられまして……これが一番見た目も味もいいと思います。予算もちゃんとお小遣いからなので気にしないでくださいね」 珍しく早口気味で、それだけ気持ちがこもっていると感じた 「か、馨くん!?」 「あっ」 嬉しくて目が潤んでしまった 「な、泣くほど、いや…」 真っ赤な顔から真っ青になったので慌てて訂正する 「う、嬉しくて。食べていい?」 「どうぞ…」 一つ手に取ってみる 四角形で花の絵がプリントされているようだ 半分ほど齧るとパキッと小気味いい音と共にチョコの香りと中のガナッシュのアーモンドと林檎の香りと味がしてとても美味しかった 「美味しい!とても美味しいよ照輝くん!」 そう本心から言うと、安心したように息を吐いたあと嬉しそうに微笑んだ彼を見て、きっとずっと今まで緊張したり悩んだりしたのだとわかった きっと彼の真心がこもっているからより嬉しくて温かい気持ちになれるのだろう 「あーん」 「ッ…あーん」 一つ摘んで照輝くんの口に入れる モグモグとしたあと、美味しいですと言った 「折角だから一緒に食べよう。そっちの方が俺は嬉しいな」 「馨くんがいいなら」 頷いて一緒にチョコを食べる 一つ一つ丁寧に 口に入れたチョコの中に桜のガナッシュが入っていて ふんわりといい香りがする まだ春を感じることができた またふんわりと芳しい梅の香りが香った 小さな雀が二羽 縁側に寄り添っていた
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