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『Je t'aime pour toujours─永遠に 愛してる─』
暫く放心状態だった私に、指に灯った光が呼び掛ける。見ると、見事に咲き誇るサンパキーダの花が私に優しく咲いかけている。
私は初めて恋を識った少女のように、夢ばかり見ていた。
二人が寄り添っている限り、意地になって関係を継続しても、いずれは「限界」が訪れるのだ。
周りのひとに祝福されたくなる。挙句の果てには結婚を切に望むようになる。二人でひっそり暮らすにしたって、戸籍上の問題はことあるごとに私たちの障害となる。
そうして私たちは生涯満たせない飢えにもがき苦しみ、疲れ果て、あるいは辟易し、そのうち互いを愛しいと思う気持ちさえ穢してしまうのだろう。
兄妹で愛し合ってしまったアキと私に、永遠を共にするハッピーエンドは掴めない。血縁の宿命を背負う私たちだからこそ選択する「愛のカタチ」見つけたよ……、アキ。
あの時、離れなければならない深い理由があったんだよね?
だからこの指輪に別れのない永遠の愛を誓ってくれたんでしょう? どんなに離れていても色褪せることのない愛を。
本当は飽きるくらい傍にいたいけれど、一緒にいることが全てじゃない。佑規が言ったように、相手の幸せを願うことだって立派な愛だ。触れ合えないことで心の距離は離れたりしない。想い合っているだけなら罪にならず「永遠」が手に入るのだから。
──そうだよね、アキ?
愛しさも、切なさも。募らせたこの場所で、アキを失くして一年経ってようやく、あなたを想って笑えていた。
いつか迎えに来てくれるのかもわからない。絶望に囚われた挙句に他の男性にすがった女を見損なったかもしれない。もしかすると次に会った時は兄妹に戻っているのかも──
先のことはわからないけれど。もう迷わない。今こそ、光を忘れない指輪を思い切り胸に抱きしめ、あなたに誓いたい。
「私も、ここで、アキを愛し抜きます──」
ねぇ、アキ……。ねぇ、アキ?
寂しくて、恋しくて、何度もあなたに呼び掛けた。でもこれが最後だからもう一度だけ呼んでもいい?
ねぇ、アキ……。
一年経った今も、これからもずっと……永遠に私を愛していてくれますか──?
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