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……そこで私の意識は一旦途切れ、再びそれを取り戻した時にはシャワーに打たれていたという、黒歴史に刻むに相応しい醜態を晒したのだった。
そうして、今に至るのだけど。
気づけば、ペットボトルの空はカランと音を立ててタイルに転がり、その持ち主は、壁にもたれかかる私を上から覆い尽くしていた。
口移しをするものがなくなってもなお、口の中を犯され続けている。
吐きそうだった気持ち悪さも、水分を大量に含んだお陰か、随分と落ち着いた。
酔いと、浴室の熱気と、烈々と私を追い立てるキス──どちらかというと、ふわふわして気持ちがいい。
「……そんな瞳で俺を見つめてんな」
──そんな、目……?
お酒で頭がぽわんとしているし、シャワーと湯気で視界もはっきりしない。あなたの顔が霞んで見える。
そんな中で自分はどんな顔をしているんだろうと、黒目を動かして鏡を探してみるけれど、その行為は途中で遮られてしまった。
「教えてやろうか。俺の味」
「え──」
意識的に落とされた彼の視線を辿ったことで、身の置き所のない羞恥に駆られる。
全身水浸しになったせいで、薄手の服は肌に張り付き、体型や胸の大きさも……胸の輪郭からその先の頂までくっきりと浮かび上がっていたのだ。
「白のブラウスに白い下着……清純そうな格好して案外、感度抜群?」
言葉で詰りつつも、膨らみかけた胸の先を下から指で擦り上げられて、短くも悦に浸った声が私の口から零れる。
──いいのかな、止めなくて。
手馴れた誘導に、こなれた愛撫。経験の少ない私にもすぐにわかった。彼はきっと女に不自由していなくて、こういう経験も豊富なのだろうと。
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