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エピローグ
――星那Side――
「愛星ー。短冊つけるよー」
「たんちゃくー?」
「そう。紙にお願い事を書くと、お星さまが叶えてくれるよ。だから書こう?」
「かくー!」
夫婦で過ごした初めてのあの夏から、七年も経つ。
ここにはもう、あなたはいない。
「『五年後もずっと一緒に』って、約束したのにね……」
「ママー、なーにー?」
「ううん、何でもないよ! お願い事、書こう!」
「はーい!」
きゃっきゃとはしゃぐ愛娘の笑顔に、あなたの面影を見る。
あなたはいないけれど、あなたが残してくれた宝物が、ここにある。
それだけで私は、強く生きていける。今日も笑って、星空を見つめることができる。
「かけたー!」
「どれどれ、見せて」
まだ幼い娘が短冊に記したものは、にっこりと笑う人の絵だった。
「すごーい。やっぱり愛星は、お絵かきが上手だねえ。これは誰かなあ?」
愛星は窓の向こうに見える星を指さすと、無邪気に答えた。
「パパー!」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。「あなたと生きたい」と書き綴った短冊が、手の中で震える。
この子も、あなたに会える日を願っている。
アイラ。私ね、今でも「生きてさえいれば叶わないことなんてない」って思っているよ。
織姫と彦星がいくつもの星を越えて会える日が来るように、私たちだってきっと、いつかまた会えるって信じてる。
だって私たちは、同じ宇宙の中で生きているんだから。
たとえ星が違っても、想いで繋がっている「夫婦」なんだから……。
「好きだよ……」
――あの夏、あなたと願った未来を星が叶えてくれるのは……、ここからもう少し後のお話。
〜Fin〜
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