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一緒にいたい
――星那Side――
「ねえ。週末、『七夕祭り』に出かけない?」
それは、私たち夫婦が両想いの関係になって約二ヶ月後の話。
私は、彼をデートに誘った。
「……その『タナバタ祭り』とやらは、七月七日じゃないのか? 俺が読んだ本には、そう書いてあった」
「うん、そうなんだけど、この辺の地域は一ヶ月遅れの八月七日が七夕って決まっているの。全国的にも、八月に七夕祭りをするところはけっこうあるんだよ」
「そうなのか」
ふと彼の手元を見ると、何やら難しそうな本を読んでいた。
家にいる時間は読書をしていることが多い彼は、どう見てもインドア派だ。
『地球人観察』という名目で、時々買い物やお出かけに一緒に行くことはあるけれど……。
「それで、その祭りで何をするんだ?」
「もちろん、短冊にお願いごとを書くんだよ。綺麗な七夕飾りも見られるし、屋台もいっぱい並ぶし。ね、行こうよ!」
「それは楽しいのか……?」
「あーもう、つべこべ言わずに行くの! アイラの星にもお祭りくらいあったでしょ?」
「あるにはあるが……、ほとんど行ったことがなかったな」
「じゃあ尚更だよ。行こう!」
そこまで言った後に、ハッとする。
「あ……。今のって、私がアイラに命令しちゃってるというか、アイラの指示に従ってない……ってことになっちゃう……?」
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