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「ねえ、そこには何て書いてあるの?」
彼女に問われ、手元の短冊に視線を落とす。
「……君と同じだ。『星那とずっと一緒にいられるように』と」
俺の言葉を聞いて、彼女は嬉しそうに笑う。
「ふたり一緒の願いなら、パワーも強力になりそうだね」
どこに取り付けるか迷った後、「てっぺんに近いところが良い」と星那に頼まれ、背の高い俺が二人分の短冊を取り付けた。
「ありがとう」
「なぜ、てっぺんの近くが良いんだ?」
「だって、星に近いほうが、願いが叶いそうでしょう?」
「……そうだな」
ふたりで見上げる先に、仲良く並んだ二枚の短冊が、夜風に揺れている。
「……あ、そうだ。せっかくだから、星を見なくちゃね」
神社の裏手にまわると田んぼと畑が広がり、暗闇の中で星空がよく見えた。
「よかった。晴れていて」
彼女は星空に人差し指を置き、ゆっくりと動かしていく。
「あそこで光っているのが、こと座のベガ……『織姫』で、反対側にあるのが、わし座のアルタイル……『彦星』。二つの星の間に流れているのが……」
「『天の川』」
「そう。で、あっちにある星が、はくちょう座のデネブ。この三つの星で、『夏の大三角』って言うんだよ」
織姫と彦星についての物語は、本で読んだことがある。
結婚してから全く働かなくなってしまった織姫と彦星に怒った神さまがふたりを引き離し、一年に一度、七月七日の夜だけ会うことを許したというものだった。
「この夫婦は、怠けてしまったせいで会えなくなったんだな」
「あはは、そうだね。ちゃんと真面目に働いていればよかったのにね」
「でも、それでも一年に一回は会える」
「うん……」
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