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「たこ焼きしか食べてないから、お腹減ったね。どこかでカレー食べてく?」
「いや……星那のカレーが良い」
「じゃあ、ふたりでカレーつくる?」
「タマネギが目に染みるから、無理だ」
「ゴーグルすればいいでしょ! 切り方、教えてあげるから」
君と手を繋ぎ、笑い合う帰り道。
こんな幸せな日が、ずっと続けばいいのに……と思う。
星那……。君についてしまった嘘が、ある。
あの短冊に書いた、願い事。
「君と同じ、『ずっと一緒にいられるように』と書いた」と、俺は言った。
でも、本当は違う。
俺の願いは……………………「星那がずっと笑顔で生きられますように」。
君とずっと一緒に……なんて贅沢なことは言わないから、どうか俺がいなくなっても、君には笑っていてほしい。
遠く離れても、君が毎日笑顔で、幸せな人生を歩めるように。
命が終わりを告げる時も、「ああ、良い人生だった」と笑えるような……日々を。
どうか、どうか、その尊い笑顔が消えないように。俺は祈るよ。
残された、このかけがえのない日々を、奇跡のような君を、これからはもっと大切にしていく。
……愛せば愛すほど、別れが辛くなる。
それでも俺は、許された時間を君と生きていこう。
全力で、君を愛そう。
「……星那」
「ん?」
「俺と、結婚してくれて……ありがとう」
君は繋がれた手を強く握り返し、太陽のような眩しい笑顔を向ける。
「こちらこそ」
君に出会えて、よかった。
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