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最近、アイラが優しいから忘れかけていた。
これでも私は一応、彼の『協力者』。
「俺の指示に従わなかったり、反抗したら地球が吹っ飛ぶぞ」、「つまり地球の全人類が人質だ」と、出会った時に脅されていた。
そのせいで、言われるがままに彼と結婚までしたのだ。
「夫婦を演じているほうが地球人に紛れて活動しやすい」という理由で……。
――――そう。私の旦那である彼は、数ヶ月前に地球にやってきた異星人。
『地球人調査』をするために地球人のフリをして、私と嘘の新婚生活を送っている。
とは言っても、彼の見た目は私たちと何も変わらないのだけれど。
最初は、「脅し」だけで繋がっていた夫婦関係。
でも、生活を共にしていくうちに、いつしかお互いに恋愛感情を抱くようになっていた。
「……星那は、俺が今もまだ脅すと思うのか……?」
「だ、だって……」
傷つけるようなことを聞いてしまっただろうか。でも、今までがそうだったのだから聞かずにはいられない。
アイラは寂しそうに笑うと、私の頭に優しく触れた。
「今まで怖い思いさせて、悪かった。もう今後一切、そういうことはしないから。自由に動いていい。ただ……」
彼は言葉をためらった後、俯いて口を開く。
「できるなら…………、俺はまだ、星那と夫婦で……いたい……」
その言葉に、心臓が大きく揺れる。
「まだ……一緒にいたい」
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