ずっと友達って言ったじゃない

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その後も出会う度にその子、ミワは私に話しかけて来た。 最初は友達なんて一人も居なかったから戸惑ったけど、すぐに仲良くなって、お互いの家を行き来するようになった。 「ねえエリカはどうして学校に行ってないの?」 「苛められるから・・・」 「えー、そんなの酷いよ。先生に言って止めるように言ってもらえないの?」 私は首を横に振った。そんなことをすれば、苛めはますます酷くなるのはわかってる。 「じゃあ、お母さんに相談してみる?」 そんなことを言えば、お母さんの怒りを買うだけだ。 私に関心がないくせに、学校に行ってないことがわかると折檻をする。 誰のおかげで学校に行けると思ってるんだ。学校に行け。 中学くらい卒業しないと生きていけないんだ。卒業したらとっとと出て行ってもらわないと困るんだよ。母は酔っぱらっていつも私をそう罵倒し折檻した。 髪の毛を引っ張られ、布団に隠れると、引きはがされて往復ビンタでぶたれた。 一度、腫れあがった私の顔を見て、ミワが驚いてどうしたのかと聞いてきた。 私は、転んで顔を打ったと嘘を吐いた。お母さんにぶたれたなんて言えない。 「可哀そうに。痛かったね」 そう頬を撫でられた。 私は、我慢していたものが一気に堰を切ってあふれ出し、ミワの前で号泣した。ミワは優しく抱きしめてくれた。 「私達、ずっと友達だからね」 ミワだけが私の特別になった。 ミワは掛け替えのない友達。 でも、ミワの家族は私とミワが仲よくすることを快く思っていなかったようだ。何かといえば、ミワが私に近付くことを邪魔してきた。 ミワが嫌がるのに、塾やお稽古事を押し付けて、私と遊ぶ時間を奪った。 ミワは頭のいい子だったから、とっくに私が母親に虐待されていることに気付いていた。 私が学校に行かないというのを理由に、お母さんがいつものごとく私を折檻していたら、突然玄関ドアが開いた。 「おばさん、やめて!エリカをぶたないで!」 ミワが小さな体でお母さんに飛びついてきた。 「よそのガキは引っ込んでな!関係ないだろ!」 そう言ってミワを突き飛ばした。すると、ミワは頭を強く台所のシンクにぶつけて倒れた。さすがにお母さんもびっくりして、ミワに駆け寄ると、頭が切れて血が出ていた。お母さんがミワを怪我させた。お母さんは慌てて、救急車を呼び、ミワのお母さんを呼びに行った。 お母さんは卑怯にも嘘を吐いた。 ミワが自分で転んでシンクに頭をぶつけたと。 私は、お母さんが許せなかった。初めてお母さんに歯向かった。 「違います。お母さんが、ミワを突き飛ばしました」 お母さんが私を虐待していたのは、近所でも有名だったから、私の言葉は信用された。ミワのお母さんが警察を呼んで、私のお母さんは警察に連れて行かれ、しばらく帰って来なかった。 その日以来、私はミワに会えなくなった。 ミワと家族は引っ越して行ってしまった。 当然と言えば当然。自分の子供を怪我させた頭のおかしい女が隣に住む家になど、住む気にはなれないだろう。 それからの私は失意のどん底だった。 唯一の心のよりどころのミワを失い、施設に預けられたのだ。 もう誰も信じる者は居ない。 私は、その施設で同室の子を鉛筆で刺した。 私の問題行動で、その施設を追いやられて、私は医療施設に入れられた。 ろくに学校にも行かず、精神疾患を疑われた私に行く場所などなかった。 好きでもない男に身を預けてその日暮らしをするしかなかった。
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