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「以上が加藤恵梨香の供述です」
「しかし、生活保護費詐取だけでなく、幼女を誘拐して殺害、死体遺棄までしているなんて」
私ね、やっぱりお母さんのこと許せなかった。
動けなくなったから私に面倒を見ろですって?冗談じゃないって最初は思ったけど、仕方なかった。でも、クズはいつまでたってもクズのままなんだよね。せっかく私が作ったお粥をお母さんは不自由な手で払いのけたんだよね。
ふざけるな。どうして私が今更お前にそんな仕打ちをされなければならないの?そう思うと頭にきて、私はお粥を無理やりお母さんの口の中に押し込んで流し込んだ。人間ってあんなにあっさり死ぬなんて思わなかった。
私があなたに何度同じことをされたと思っている?
でも、あなたは私のたった一度の暴力で死んだ。あっけないもんだ。
私はお母さんの死体をあの秘密基地に隠した。
その後も死亡届を出さないままにした。生活できなくなるのは困るもの。
そして、私の目の前にあなたは現れたのだ。当時の姿のまま。
「もしかして、エリカ?久しぶり!」
そう言ったのは見知らぬオバサンだった。
彼女は自分をミワだと名乗った。
冗談じゃない。あなたがミワのわけないじゃない。私のミワはそんなオバサンじゃないわ。そのオバサンに手をひかれ、可憐で可愛らしい女の子。
ミワ・・・。
「あはは、小さい頃の私にそっくりでしょ?この子は私の娘でヒカリだよ。ほら、ヒカリ、ご挨拶しなさい」
恥ずかしそうにペコリと頭を下げた。
違う、あなたはミワ。
私は、ミワと名乗るオバサンと仲良くするフリをして、彼女の家をつきとめた。そして、ミワを連れ出して、秘密基地に連れて行った。
ミワは、最初は楽しそうに遊んでいたけど、しばらくするとママが心配するから帰りたいと言い出した。
ダメ、また私から逃げるつもり?
だから私は、ミワを秘密基地に大切にしまうことに決めたの。
警察の人は、死体遺棄だって言うけど、私はちっとも遺棄なんてしていない。これは大切にミワをしまっておいたんだもの。
ほら、その証拠に、ミワの周りはいつも綺麗なお花で満たしていたもの。
ミワは私の宝物。
ずっと友達だもんね、ミワ。
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