prologue

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「やめろ! くそっ、ふざけるなぁああ!!」  どこまでも悲痛な声を最後に、気が付いた時には、すべてが終わっていた。  全身どこもかしこも魔力の使い過ぎによる激痛に襲われ、さらに肌がひどくひりつくことから傷を負っているのだとわかる。頭を持ち上げる力も残ってないが、騒がしいというよりは阿鼻叫喚といった叫び声に包まれる周囲に視線を巡らし、ああ、と状況を理解した。  魂を弄るなど、神の領域に手を出した馬鹿な人たち。  強い魔力を持つ人間を選び出し、贄をつかいドラゴンを生きたまま捕獲して。  ドラゴンの魔力の源たる魂核(こんかく)を取り出し、幾人もの魂を生贄として犠牲に、人の身にドラゴンの力を融合させる魔法を完成させようとした愚かな人間たちは……満を持して選び出した一人の少年にその術を施し、そして失敗した。  いくら強い魔力を持っていようと所詮は人間。ドラゴンの魔力に器が耐えられるわけもなく、結果暴走し、多くの人間の命が一瞬で散った。  何の実験に使うつもりだったのか様々な魔物たちが捕らえられていたようだがその装置も壊れ、逃げ出して人を襲うせいで、暴走した魔力から生き延びた人間たちも蹂躙され始めている。生贄として魔法陣の内に閉じ込められた筈の『私の体』が何故まだ生きているのかわからないが、目の前には数か月前に友達となった『幸せを運ぶ鳥』と呼ばれる鮮やかな青い羽をもつ小鳥が、隠れ潜んでいた私の外套から転がり落ち、その小さな命を散らしてくたりと地面に横たわっている。……同じく魔法陣の中にいる集落の人たちは私以外誰一人、生きてはいないようだった。  父も、母も。誰もかも。
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