始まりの三人

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始まりの三人

   ◇ ◇ ◇  最初の変化は高一の夏休み明け。  クラスメートの三人がマッチョ化したのが始まりだった。  なんで断言できるかといえば、内二人は俺の友人の神原と飯山。もう一人はクラスで一番の悪ノリチンピラ岩尾。嫌でも印象に残ってしまう。  三人とも入学した時は普通の体形だった。  スポーツやってたりケンカが強かったりして、体格が良くて羨ましいなあとは思っていたけれど、一般的な男子高生の体だったと思う。  それが夏休み中に友人二人は会う度に筋肉をつけて、休み明けには立派なマッチョ。  制服マッチョ、迫力スゲーな……と内心ビビっていたら、予鈴間際に駆け込んできた岩尾がマッチョ化していて、非マッチョな同級生全員が固まっていた。  でも同じマッチョの友人二人は驚くことなく、席に座った岩尾へ声をかけていた。 「岩尾、よく育てたな」  見た目も中身も現代の武士を連想させる神原が感心しながら頷く。  黒髪短髪の強面。背も高い上に筋肉まで手に入れたせいで、高一と思えないほどの貫禄があった。  その隣で飯山が満面の笑顔を見せる。  神原と正反対な、明るく元気で気さくな性格。ふわふわな髪質の赤毛がトレードマークの爽やかイケメン。無邪気に笑う普段の顔とマッチョが、俺の中でまだ馴染まず異質に見えてしまった。
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