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小学校の同級生である真知子と向かい合って食事をしながら、ユリは出掛ける前に娘のカナとしたやりとりを思い出していた。
「おかあさん、どっかいくの?」
「うん。小学校の同級生から『ごはん食べよう』って連絡あったんで、でかけてくる」
「小学校のときの友だちってめずらしいね」
「同級生ってだけで友だちだと決めないでよ」
「友だちじゃない同級生とごはんいくの?」
「毎日遊ぶ程度には近しい仲だったんよ」
「それって友だちじゃないの?」
「友だちとか恋人とか定義があやふやな日本語使うのいやなのよ。ってか、多分、私は友だちいなかったとおもうよ。カナがもし、私と同じクラスだったら、友だちになったとおもう?」
「ならないだろうねえ。そんな面倒なこと言うやつ嫌だもん」
「でしょ。そういうことよ」
そう、そういうことなのだ。
久々に連絡してきた真知子は食事そっちのけで、『ありがたいブレスレット』なるもののパンフレットの説明に必死である。
(たまたま住んでる場所が近いだけで、心許せる人間にあえるなんて奇跡でしかなかろう。私には友だちなんていらないな)
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