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引き出しは思ったよりも深かった。引き出しの長さは、テーブルの天板の大きさと同じなのだろう。私はゆっくりと、いっぱいまで引っぱった。
えっ? 何かがある。スマホの向こうの奥のほうに何かが入っている。さっきの遺書だ。財産はすべて私に……。
でも、そこには一冊のノートが入っていた。手に取った。学校で使うようなごく普通のノートだ。表紙や小口は少し日に焼けていて黄ばんでいる。
表紙をめくった。日付が入っている。日記帳だ!
驚いた私はおならをしてしまった。
「えっ?」おばあちゃんの声がした。
「あ、すいません」
耳が遠いのはウソだったのか……
表紙に東高二年、宮西光一と鉛筆で名前が書かれている。宮西くん!
日記は先生が書くような均整のとれたきれいな文字が並んでいる。
私の胸は高鳴った。
こうして彼の日記帳を手にしていることが信じられなかった。
私は夢を見ているのだ。明日の朝、目が覚めればきっと日記帳などどこにもない。
それでも私は食い入るように読み始めた。
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