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「ハレ、モモ」
ママが呼んでいます。
「ママ、なあに?」
「そろそろ自分の色は決めたかしら?」
「わたしはね、お空の色!」
「空色ね! とっても素敵だわ。ハレは?」
「ボクは……」
ハレの言葉が止まります。
「もう少し考えてもいいかな、ママ?」
「ええ、もちろんよ。焦ることはないわ」
ハレはひとり、ママとモモのそばから離れます。向かう先はピンク色のお花が咲く場所。
ハレはお花に話しかけました。
「ボクはね、ピンクが好きなんだ。でもね、男の子がピンクなんて選んでもいいのかな? 男のくせにってバカにされたらどうしよう……」
男のオトナでピンク色を選んでいる鳥がいないことにハレは気付いたのです。
そんなハレのもとにモモがそっと寄ってきます。
「ハレ?」
「モモ……。ピンクって、女の子の色なのかな?」
「誰が決めたの?」
「誰が決めたのかは知らないけど、でも男はピンクなんて選ばないじゃないか……」
「それじゃ、ハレがピンクを選んだ最初の男になればいいでしょ?」
「そんな簡単に言わないで……。ああ、ボクも空の色が好きだったらこんなに悩まなかったのに……」
「ハレは空の色が嫌い?」
「嫌いじゃないよ」
そう言ってハレは空を見上げます。その横でモモは少しだけ考えました。
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