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ハレとモモがオトナになる日。
それは灰茶色のヒナが自分の決めた色になる日です。
しかしハレはうつむいていました。
「ハレどうしたの?」
「モモ。……ボクはやっぱりピンクが好きなんだ」
「そうね。だからわたしがピンク色を選んであげるんでしょう?」
「いつか後悔しない?」
ハレの言葉にモモは考えます。
モモが考えている間にハレはまた言いました。
「ボクは後悔するかもしれない。やっぱりボクが好きな色はボクが選びたかったってね」
「それじゃあハレは空色じゃなくてピンクを選ぶのね?」
「そうだよ。だからモモは、モモが好きな空色を選んでいいんだよ!」
モモは一度ハレを見ると、雲ひとつない晴れわたった空を見上げました。
「わたしは、わたしが好きな色を?」
「そうだよ。モモはやっぱり空色が好きなんだろう?」
「ええ。もちろん、空色が大好きよ!」
「だから自分たちが一番好きな色を選ぼうよ。ボクはもう『ピンクは女の子の色』なんて言わないから!」
「そうね、ハレ! わたしたちが一番好きな色を選びましょう!!」
ハレとモモはにっこにこです。
「ボクは一番好きなモモ色に!」
「わたしは一番好きなハレた空色に!」
ハレはモモを見てにかっと笑い、
モモはハレを見てにこりと笑いました。
〈おわり〉
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